金曜日, 4月 26, 2024
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声優の7割以上は年収300万円以下、2割強がインボイス制度導入で廃業を検討

22年9月実施声優の収入実態調査及びインボイスに関するアンケートのまとめ

3人の声優(咲野俊介、岡本麻弥、甲斐田裕子)が立ち上げた有志グループ「VOICTION」では、2023年10月施行予定の「インボイス制度」(正式名称:適格請求書等保存方式)が業界に与えるインパクトを憂慮し、本制度への反対運動を行なっています。その一環として声優業界の実態を把握すべく、声優を対象にした「声優の収入実態調査」(回答数260件、2022年9月13日開始)、並びにフリーランスを対象とした「インボイスに関するアンケート」(回答数183件、2022年9月12日開始)を実施し、ここにその途中集計結果を発表します。

●1万人を超える声優(※1)の収入実態、7割以上が年収(※2)300万円以下

現在日本で「声優」と呼ばれる人は、1万人以上存在していますが、今回のアンケート結果によると72%は声優としての年収が300万円以下であると回答しており、1000万円以上と回答した人の割合はわずか5%でした。とりわけ20歳代、30歳代の若年層の年収は低く、約半数が100万円以下であると回答しています。
このアンケート調査はTwitter及びVOICTION公式サイトでの呼びかけのもと回答者を募った事から、比較的年齢層の低い声優たちが回答したと考えられますが、それでも全体の90%以上が現在消費税の納税を免除されている免税事業者に該当すると言えます。
(参照:図1〜4)

 

声優の7割以上は年収300万円以下、2割強がインボイス制度導入で廃業を検討のサブ画像1_図1:年収(全年齢)図1:年収(全年齢)

●低収入者ほど年収に占める経費の割合が高く、収入以上の経費をかけているケースも

収入に占める経費の割合を見ると、低収入者ほど高い割合で経費を計上していることがわかります。年収0〜300万円の層で見ると、実に20%の人が100%以上、50%が収入の半分以上の経費を計上しており、芸事だけでは生活が成り立たないという実情が見えます。この割合は収入が上がる毎に低くなっており、1000万円を超える人の83%は収入に対する経費の割合が50%以下であると回答しています。
これは、声優としての収入が低い人たちの方がレッスンなど比較的高額の経費を使う必要がある、という現状に即した結果であると言えます。
(参照:図5〜9)

声優の7割以上は年収300万円以下、2割強がインボイス制度導入で廃業を検討のサブ画像2_図5:年収に占める経費の割合図5:年収に占める経費の割合

●インボイス制度により2割以上が「廃業を検討」と回答

「2023年10月にインボイス制度が導入された場合、ご自身の声優としての仕事は増減すると思いますか?」という問いに対し、23%が「廃業するかもしれない」と回答しています。声優の5人に1人が、この制度による影響を受けて業界を去る可能性があるのです。
この問いに「増えると思う」と回答したのは僅か1%のみで、76%の回答者が「収入が減るのでは」と考えていることがわかります。
2020年のCovid-19の流行以降に仕事が増減したかの問いには全体の43%、廃業を検討すると答えた人の52%が「減った」と回答しており、3年前と比較して既に経済的に大きなハンデを背負う状態である現在、これ以上の負担は自らの夢を諦めるきっかけにならざるを得ないという切実な思いがこの結果から見て取れます。
また、「廃業するかもしれない」と答えた人たちの年収を見ると58%が100万円以下である一方、6%は年収400万円以上あると回答しています。さらに年代で見ると40歳代〜60歳代である回答者が16%おり、必ずしも低収入者や若年層だけが強い危機感を持っているとは限らないと言えます。
(参照:図10〜14)

声優の7割以上は年収300万円以下、2割強がインボイス制度導入で廃業を検討のサブ画像3_図10「2023年10月にインボイス制度が導入された場合、ご自身の声優としての仕事は増減すると思いますか?」への回答図10「2023年10月にインボイス制度が導入された場合、ご自身の声優としての仕事は増減すると思いますか?」への回答

●回答者の97%がインボイスに反対、仕事への圧力と思われる要求も

上記「収入実態調査」と同時期に行った「インボイスに関するアンケート」では声優・俳優のみならず漫画家・イラストレーター・アニメーターや文筆業、建設業など多様な業界の個人事業主からの回答を得ました。その結果、97%がこの制度に対して明確に「反対」であると回答しています。所属している事務所や取引先などから制度についての何らかの説明があったかの問いに対しては78%が「まだ話はない」と回答しており、個人事業主と商取引のある企業側への周知が足りていない実情が浮き彫りとなりました。
一方で「話があった」と回答した22%の中には『登録してもらえないと今後の契約は約束できないと言われた』、『インボイスの発行がない場合、今後の取引をしないという通告が来た』、『毎年頂いているお仕事がインボイス制度が始まるとお願いするのは難しい、と言われました』、『課税業者にならないとその分値引き』等、独占禁止法に抵触するのではと思われるような言葉をかけられたとの回答も見受けられました。
(参照:図15〜17)

●VOICTIONのこれまでとこれからの活動

上記のアンケート結果を見ても、インボイス制度は消費税の課税・免税に関わらず多くの個人事業主が反対する制度であり、日本国憲法の定める「健康で文化的な最低限度の生活」を脅かし、また「職業選択の自由権」を経済的な側面から実質的に歪める制度であると考えます。VOICTIONではこれまでも各政党の所属議員に対し陳情を行なって来ましたが、今後もその活動を続け、さらに業界内外に本制度の概要、及び問題点について啓蒙するよう活動を続けていきます。本アンケート結果、並びにVOICTIONの活動内容・メンバーについてご取材いただける場合は下記メールアドレスまでご連絡ください。また、声優業界だけでなく広く「エンターテインメント分野の集合母体」として、この活動に賛同してくださる方を随時募集しています。同じく下記メールアドレスまでご連絡をお願い致します。

※1 2022年9月 VOICTION調べ。公開されている声優が所属する事務所の公式サイトに掲載されている人数が9591人。この他、公式サイトに掲載されていない「預かり所属」等の人数、及び無所属で活動するフリーの声優を加味し、1万人以上とした。
※2 『税金及び経費』を引く前の金額。

【調査概要】
調査名称:声優の収入実態調査/インボイスに関するアンケート
URL:
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSeIrdeMVqWLPrOtFWJLIabF90GTbSqxDZ3SlDUmEg5dsfU7Yw/viewform
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSfLx80RjCidGngSGiT_m4Q1To3ODJ9nsL15t-5lTbK-S8FM0Q/viewform?vc=0&c=0&w=1&flr=0
調査対象:声優として仕事をしている者/個人事業主
調査機関:自団体調査
調査方法:Webアンケート(Twitter及び公式サイトで告知)
調査期間:2022年9月13日〜(継続中)
回答者数:延べ443名
参考資料(グラフ図):https://drive.google.com/file/d/12GlD-v5DsS82fasZkagCPTRh_7KNlUuO/view?usp=sharing
 

【VOICTIONについて】
設立者:咲野俊介、岡本麻弥、甲斐田裕子
設立年月日:2022年8月3日
公式サイト:https://voicelessvoice803.wixsite.com/voiction
公式Twitter:https://twitter.com/VOICTION
問い合わせ先:voicelessvoice803@gmail.com
リリース担当者:福宮あやの

参考資料:https://drive.google.com/file/d/12GlD-v5DsS82fasZkagCPTRh_7KNlUuO/view?usp=sharing

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