2020年に日本初演された作品を"REBORN"と銘打ちパワーアップしたオフ・ブロードウェイ・ミュージカル「悪魔の毒毒モンスターREBORN」。1984年にアメリカで公開され、一部熱狂的なファンに愛され続ける伝説のカルト映画を原作にしたスプラッターホラーコメディミュージカル……と言うと、一体どんな内容かと身構えるかもしれないが、肩の力を抜いて楽しめる“超おバカな”痛快ミュージカルだ。
舞台になるのはアメリカのニュージャージー。いじめられっ子だったメルビン(福田)は産業廃棄物で汚染された街を救うために立ち上がった途端、汚染の黒幕である市長(霧矢)の命令で放射性廃棄物のドラム缶に放り込まれ、緑色のモンスターになってしまう。しかし、モンスターになって助けた片思いの相手、盲目の司書・サラ(平野)とはいいムードに。けれど彼は、実は自分がメルビンであることや、今はモンスターの姿をしていることをサラに明かす勇気がない。その頃、市長はメルビンの命を狙い――。
カルト映画原作特有のはちゃめちゃな展開、強烈すぎる登場人物、大雑把な設定、とんでもない台詞が、池田の演出によって少しの脱力感と共に堪能できるコメディ作品。福田は、毒毒モンスターのときは顔の3分の2をマスクで覆い、そのマスクはけっこう変なのだが、メルビンの放つ純粋さやサラへの思いがその「変」を超える瞬間があり、それは感動的でもあるし、本作の魅力そのものでもあるように思った。また唯一の新キャスト平野が演じる盲目の司書・サラは、空気を全く読まないタイプの人物。それを平野が実に絶妙なラインで好演しており、観ていて振り回される感情も楽しい。さらに林は12役、宮原は16役、霧矢は3役を演じ分ける。林と宮原はまさに三面六臂の活躍ぶりで、役柄を行き来しながら、幅広いジャンルの楽曲を歌いこなし、時に鞭で打たれ、時に手足を切られ、ひどい目に遭いまくり、いつもちょっと切なげな表情を浮かべつつこの作品を支えている。霧矢の3役は、本当に同じ俳優!?と疑うほど振り切れっぷりで、霧矢でなければあり得ない芝居が観られる。霧矢が演じる二役の対決シーンは圧巻だ。
ロックバンド「ボン・ジョヴィ」のデヴィッド・ブライアンによる音楽は名曲揃いで、物語のカオスとのギャップに彼の遊び心も感じる。この中で歌われるからこそ際立つ真っ直ぐな想いも印象的だ。グッズのペンライトを使った観客参加の楽曲もあるのでぜひご参加を(点灯のタイミングや色は舞台セットが知らせます)。
開幕にあたっての会見で福田は本作を「スピード感もすごい、まったく飽きない舞台」と言い、「初演のときは、こういう感じでやっていいのかなという思いがありました。今回はもう、やっちゃっていいんだってところから始められます!」とコメント。霧矢も「またこのメンバーが集結し、この座長のもとで、たのしい作品に巡りあえて嬉しいです。平野綾ちゃんが新キャストとしていい味を出しまくっています」と話した。おかしい、笑える、というだけではないものも残る作品。この熱量をぜひ劇場で体感してほしい。上演時間は約2時間35分(途中休憩20分含む)。
【公演概要】
タイトル:オフ・ブロードウェイ・ミュージカル「悪魔の毒毒モンスターREBORN」
脚本:ジョー・ディピエトロ 音楽:デヴィッド・ブライアン
演出:池田テツヒロ
翻訳・歌詞対訳:可児理華 音楽監督:岡崎 司 振付:足立夏海/原田 薫
出演:福田悠太(ふぉ~ゆ~)
平野綾 林翔太 宮原浩暢(LE VELVETS)
霧矢大夢
<東京公演>
2023年1月14日(土)~22日(日) 【全12回公演】
★アフタートークショー:
1月15日(日)17:30公演【福田悠太・林翔太・宮原浩暢】
1月19日(木)13:00公演【福田悠太・霧矢大夢・平野綾】
会場:EX THEATER ROPPONGI 〒106-0031 東京都港区西麻布1丁目2−9
主催 テレビ朝日/ミックスゾーン
<大阪公演>
2023年1月27日(金)~29日(日) 【全4回公演】
★アフタートークショー:
1月27日(金)18:30公演【福田悠太・霧矢大夢・宮原浩暢】
会場:サンケイホールブリーゼ 〒530-0001 大阪府大阪市北区梅田2丁目4−9 ブリーゼタワー7F
主催 リバティ・コンサーツ
<東京・大阪公演共通>
チケット料金:11,500円(税込・全席指定) ※未就学児入場不可
チケットに関する問合わせ:キョードーインフォメーション 0570-200-888(平日・土曜 11:00~18:00)
公式サイト:https://www.dokdok2023.jp
公式Twitter:@dokdok2023(https://twitter.com/dokdok2023)
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