金曜日, 11月 22, 2024
ホームイベント上方落語の次代のスターをあなたが選ぶ!『マルエスPresents 神戸新開地・喜楽館AWARD2024』白熱の予選リポート&決勝は12月15日(日)開催!

上方落語の次代のスターをあなたが選ぶ!『マルエスPresents 神戸新開地・喜楽館AWARD2024』白熱の予選リポート&決勝は12月15日(日)開催!

地域の街興しと上方落語の更なる発展を目指して上方落語の定席「神戸新開地・喜楽館」とABCラジオがタッグを組んだ「マルエスPresents 神戸新開地・喜楽館AWARD2024」。
入門16年目から25年目までの上方の落語家を対象に、喜楽館の観客とABCラジオのリスナーに「審査員」として直接参加していただくことで上方落語の次代を担うスターを選ぶ、新機軸のコンクールです。

昨年は、桂雀太さんが初代の栄冠に輝き、喜楽館の窓口でお客様から募った賞金109万500円と、副賞として特別協賛の株式会社マルエス様からいただいた「こだわりシリーズいか天大王28g」1年分を合わせて贈呈しました。

 

今回の予選は、エントリーをした総勢24人の噺家さんによって10月3日(木)、4日(金)、8日(火)、9日(水)の4日間に渡って実施。それぞれの予選日で1位を獲得した笑福亭鉄瓶さん、桂佐ん吉さん、桂ちょうばさん、林家染吉さんと、2位だった噺家さんの中から最も得票率が高かった桂三四郎さんの5人が、12月15日(日)18時から神戸新開地・喜楽館で開催する決勝に進出します。

以下は、放送作家・漫才作家・落語作家として活躍し、
昨年に続いてイベントのブレーンを務める米井敬人さんが記した予選のリポートです。

                                                                                  

 

第2回を迎えた「神戸新開地・喜楽館AWARD2024」。

上方落語の次代のスターを落語ファンの皆さん、ABCラジオのリスナーの皆さんと一緒に選び、喜楽館と手を携えて末永く応援していこうという目的で去年から始まった大会です。

 

参加資格は入門16年目から25年目までの上方の噺家さん。

東京では「若手真打」と呼ばれる世代の方々です。

 

去年は大激戦の末、桂雀太さんが優勝を果たした大会に、今年は24人の脂の乗り切った噺家さんがエントリー。4日間の予選を行い、各日1位の4人と、ワイルドカードとして2位の中で最も得票率が高かった1人、合計5人が決勝に進みます。

 

先日、4日間にわたって予選が行われたので、熱戦の裏側をレポートします。

 

10月3日(木)予選初日

 

開場前の喜楽館のロビーに入ると、喜楽館の館長補佐・桂三ノ助さんが準備中。談笑していると出場者が続々と会場入りし、リラックスした中にも緊張感が漂う、初日ならではの独特の手探り感が漂います。

17時25分。舞台上で出場者による打ち合わせと出番順の抽選。

喜楽館の席亭でABCアナウンサー・伊藤史隆さんと、ABCラジオの戸谷公一プロデューサーが大会概要やルールを説明すると、より一層空気が引き締まります。

 

 

今年の大会が去年と大きく違う点は「ネタ時間」と「ネタ見せ無し」です。

1人あたりの持ち時間は、ABCラジオ「日曜落語 ~なみはや亭~」の放送時間の変更に伴い、去年の15分から12分に。披露する時間のベストは10分~12分で、12分~14分または10分未満だとイエローカードが提示され、お客さんに知らされます。14分以上はレッドカードで失格となります。

 

そして、去年は事前に各自が演目を発表していましたが、大会後のさまざまな意見を受け、事前の演目発表は無しというルールに変わりました。これが今大会の大きな特徴であり、結果にも大きく影響したと思います。

 

ルール説明のあと、順番を決める抽選が行われ、①笑福亭生寿さん(2007年入門)、②露の眞さん(2008年入門)、③笑福亭飛梅さん(2008年入門)、中入りを挟んで、④笑福亭呂竹さん(2002年入門)、⑤桂雀五郎さん(2000年入門)、⑥桂ちょうばさん(2001年入門)という順番に決定。

 

ここから開演までは50分ほど時間があるのですが、各自が自分の順番や全体の流れを考えてネタ選びモードに突入。一見なごやかですが、去年よりもピリピリした緊張感が楽屋や舞台袖、通路に溢れます。

 

18時、一番太鼓で開場。あっという間に座席が埋まっていき客席が熱気に包まれます。そんな中、史隆さんと喜楽館マネージャーの山本さんが箱を持って客席を歩くと、お客さんからたくさんの「浄財」が入れられていきます。去年同様、優勝者への賞金は「お客さんからいただいた全額」というのが喜楽館AWARDのコンセプト。落語を愛するみんなで大会を盛り上げて、脂が乗り切った参加者全員を応援しよう、そして真剣に審査しようという空気がひしひしと伝わってきました。

 

この日の下座は、三味線・はやしや薫子さん、笛・林家染八さん、太鼓・桂二豆さん、お茶子(座布団や見台を運んだり、名ビラをめくったり、舞台をととのえる役割)は黒岩祝(のり)さん。

 

 

18時半、いよいよ開演。

史隆さんの前説・ルール説明で大きな笑い声が響き、しっかりと温まっています。

そんな中、大会がスタート。

 

笑福亭生寿「近日息子」

会場の温かい空気をさらに盛り上げ、熱演を繰り広げました。

 

露の眞「コンパ大作戦」(作・桂あやめ)

出番の前後、出演者や舞台袖のスタッフ全員にしっかりと挨拶していた姿が印象的。

本厄・前厄・後厄の3人の女性が作戦を立ててコンパに臨む爆笑噺で盛り上げました。

 

笑福亭飛梅「アクセル指南」

「バイク」と「いわし」が出てくるヤンチャな噺。NHKではカットされたそうですが、ABCラジオはノーカットで放送OKとのことでした。

 

中入り。

マルエスさんからお客さんへのお土産として「粗挽きサラミ」があることが発表されると大きな拍手が。

ロビーや客席では、前半3人の余韻を楽しむ人、次の3人への期待を膨らませる人、チラシを物色する人など、お客さんの興奮はさらに熱を帯びているようでした。

 

そして後半三席。

 

笑福亭呂竹「穴蔵大工」(作・神崎辰也)

穴蔵大工に弟子入りして穴を掘る男の噺で笑いを誘いました。

 

桂雀五郎「看板の一」

マクラで競馬の馬の名前で笑わせて、「看板の一」を熱演。

 

桂ちょうば「地獄巡り」

師匠の桂ざこばさんが亡くなったことに触れてから地獄を巡る噺へ。あの世でのざこば独演会や、手ぬぐいの一工夫で三途の川を表現したり、ちょうばさんならではのギャグが満載でした。

 

全員がネタを終えると、すぐに回収と集票作業へ突入。決勝進出にふさわしいと思った噺家さん「2名」に〇を付ける方式です。

 

開票作業が行われている間、出場者全員と史隆さんが舞台に上がり、感想を述べたり落語会の告知をしたり。この時間は撮影OKなのでお客さんも写真を撮り放題で、たくさんの方がSNSに投稿されていましたので、気になる方はぜひチェックしてみて下さい。

 

 

そうこうしている間に集計が完了。その結果、予選初日の1位は桂ちょうばさん。結果を聞いた瞬間のホッと安心した表情が印象的でした。そして2位は笑福亭生寿さん。2日目以降の2位と得票率を争ってワイルドカードを守り抜くことはできるのでしょうか?

 

10月4日(金)予選二日目

 

三味線・はやしや薫子さん、笛・林家染八さん、太鼓・笑福亭呂翔さん、お茶子・楯川さん。

 

抽選の結果、①桂吉の丞さん(2002年入門)。1番とわかった瞬間、思わず「オオゥ!」と絶叫。②桂ちきんさん(2008年入門)、③笑福亭喬介さん(2005年入門)、中入り、

④桂ひろばさん(2000年入門)、⑤露の団姫さん(2005年入門)、⑥林家染吉さん(2007年入門)という順番に。

 

史隆さんの前説の間、舞台袖で出番を待つ吉の丞さんは「順番変わってくれへん?」「改めて開口一番の大変さがわかったわ」などとソワソワ。

この日のお客さんは審査員をすることに緊張されているのか、初日より硬めの雰囲気。そんな中、幕が開きました。

 

桂吉の丞「遊山船」 桂ちきん「看板の一」 笑福亭喬介「牛ほめ」

前半は三席とも古典落語が続き終了。客席の空気が若干硬いまま進行して、大会ならではの独特の緊張感に包まれているようでした。

 

中入りで吉の丞さんがスマホをチェックすると、三日目に出場する先輩・桂佐ん吉さんから「順番トップらしいな」とLINEが入っていたそうです。出演者がリアルタイムで情報をチェックするほど気になる二日目、結果はどうなるのでしょうか?

 

桂ひろば「お玉牛」 わずか20秒オーバーしてイエローカード

露の団姫「松山鏡」

林家染吉「夏の医者」

笑福亭鶴笑さんに習った型で、座布団を頭にかぶって「うわばみ」(巨大な蛇)の腹の中にいる様子を熱演。

 

 

結果は、1位が染吉さん、2位が吉の丞さん。

トリで染吉さんが文字通り大暴れして、すべてをかっさらっていったという印象でした。そして吉の丞さんは得票率で生寿さんをわずかに上回りワイルドカードを奪取しました。

順番が違っていたらネタも変わっていたかもしれず、また全然違った結果になったことは容易に想像できるほど大接戦でした。

この日のマルエスさんからのお土産は「粗挽きサラミ」でした。

 

10月8日(火)予選三日目

 

三味線・内海英華さん、太鼓・桂九ノ一さん、笑福亭喬明さん、お茶子・黒沼祝さん。

 

開場前の舞台袖では、内海英華さんが三味線のチューニングをしたり、史隆さんの出囃子「六甲おろし」を練習したり、後輩の皆さんと談笑したり、初日・二日目とはまた違った明るい雰囲気。

 

そうこうしているうちに抽選が行われ、①桂三四郎さん(2004年入門)、②森乃石松さん(2003年入門)、③桂佐ん吉さん(2001年入門)、中入り、④桂小鯛さん(2007年入門)、⑤桂ぽんぽ娘さん(2006年入門)、⑥桂三幸さん(2002年入門)という順番に。

 

この日は予選4日間の中でもっとも観覧希望者が多くて、客席を見渡すと若い女性のお客さんが多かったのですが、審査員としての緊張なのか、二日目と同様、客席の空気は硬かったです。そんな中、開演。

 

桂三四郎さん「初天神」

「トップは不利ですが、大谷翔平と打順が同じです」などのマクラがハマり、硬かった客席の緊張がほぐれたことが舞台袖まで伝わってきました。「初天神」に独自のアレンジを加えて笑わせました。

 

森乃石松さん「村芝居」 惜しくも時間オーバーでイエローカード

 

桂佐ん吉「妻の酒」

マクラで「身もふたもないこと言いますけど、争う必要ありますか? えらい人、どうにかなりませんかー!?」と心の叫び。柳家金語楼の創作落語で沸かせました。

 

中入り

 

桂小鯛「上燗屋」

動物園前と新開地は似てる説。酔っ払いが突然敬語になる面白さが炸裂してました。

 

桂ぽんぽ娘「伊藤と紗綾、時々ABC」

予選に演じられた24席の中で、いや去年の大会を合わせても最大の問題作。「伊藤」という男と、桂紗綾ならぬ「柱さあや」という女性がアレコレする噺。「ピンマイクがスタンドになってる」などピンクなセリフが満載で、詳細はとてもここでは書けません。

 

桂三幸「その川の向こう側」

マクラでぽんぽ娘さんには一切触れず本ネタへ。留学生のクリスくんの噺で、マイクを取り出してリアルにカラオケを披露する飛び道具的な落語でした。

 

荒れ気味の三日目の結果は、1位が佐ん吉さん、2位が三四郎さん。三四郎さんは得票率で吉の丞さんを上回り、ワイルドカードを奪取しました。

 

 

ちなみに補足エピソード。

磁場を狂わせたぽんぽ娘さんのネタですが、客席で見ていた桂紗綾アナウンサーは大爆笑。実は前日、ぽんぽ娘さんからメールで連絡があり、名前を使っていいか確認があったのだとか。きちんと本人に筋を通した上での激烈ピンク落語ですのでご安心ください。

 

この日、マルエスさんからのお土産は「ごぼうフライ 鰹だし醤油味」でした。

10月9日(水)予選四日目

 

三味線・はやしや薫子さん、笛・桂米輝さん、太鼓・林家染八さん、お茶子・楯川さん。

 

予選最終日は抽選でミニハプニングが発生。

桂咲之輔さんが抽選箱に手を入れたとき「いたたたた!」と指を噛まれるジェスチャーをしてボケるも、誰もつっこまず、ものすごい空気に。そして咲之輔さんは1番に…。

 

順番は、①桂咲之輔さん(2007年入門)、②桂三河さん(2008年入門)、③露の紫さん(2008年入門)、中入り、④笑福亭呂光さん(2008年入門)、⑤桂そうばさん(2005年入門)、⑥笑福亭鉄瓶さん(2001年入門)。

 

鉄瓶さんは、2001年入門の同期、ちょうばさんと佐ん吉さんが二人とも予選を通過して、佐ん吉さんから「同期で決勝を戦おう」とメールがあったそうで、緊張感も人一倍でした。

 

4日目なので、1位とワイルドカードで勝ち抜ける決勝進出者2人が決まるとあってか、この日のお客さんも緊張気味の様子で空気は若干重め。そんな中、開演。

 

桂咲之輔「つぼ算」 客席を見ないために舞台袖で眼鏡を外して高座へ

桂三河「粗忽長屋」

露の紫「あいかぎの変」(作・くまざわあかね)

ある夫婦が自宅の合鍵を巡って騒動に。

 

中入り

 

笑福亭呂光「淀川」 江戸に移植された「後生鰻」の原型。嫁を蒲焼に!?

 

桂そうば「上燗屋」

マクラを一切振らずにネタへ。3日目の小鯛さんと同じ演目ですが、全然違う内容でそれぞれのカラーがよく表れていました。

 

笑福亭鉄瓶「テープレコーダー」

息子がおかんのいびきを録音して騒動を巻き起こす噺。イエローカード

 

集計の結果、この日が4日間で最も接戦となりました。

大激戦を制したのは、笑福亭鉄瓶さん。そして2位は露の紫さん。

紫さんは得票率で三四郎さんを上回れず、三四郎さんのワイルドカードでの進出が決定。

 

この日も、マルエスさんからのお土産は「ごぼうフライ 鰹だし醤油味」でした。

 

これにより、12月15日(日)の決勝戦に駒を進めたのは、桂ちょうばさん、林家染吉さん、桂佐ん吉さん、笑福亭鉄瓶さん、桂三四郎さんとなりました。

 

こうして激闘続きの予選を終えた「マルエスPresents 神戸新開地・喜楽館AWARD2024」。

出番順や流れ、お客さんとの相性など、多くの要素が複雑に絡み合った上での結果ですので、どこかが少しでも変わっていれば、また違う結果になったことは間違いありません。

その中で勝ち進んだ5人は、決勝でさらに素晴らしい高座を披露して下さることでしょう。

 

決勝の舞台は12月15日(日)、神戸新開地・喜楽館。

当日現場に足を運べない方でも、ABCラジオの生中継の中でリスナーさんも投票できるシステムがありますので、ぜひリアルタイムでお聞きいただき投票をお願いいたします。

次代の上方落語を盛り上げるのは、これを読まれているあなたの一票にかかっています。

 

 

レポート 構成作家・米井敬人

 

                                                                                  

「マルエスPresents 神戸新開地・喜楽館AWARD2024」決勝

主 催:神戸新開地・喜楽館 ABCラジオ
協 賛:マルエス スミリンケアライフ 神戸信用金庫 丹波篠山 おゝみや 和田興産     櫻正宗 神戸電鉄
日 時:12月15日(日)午後6時開演/午後9時終演予定
会 場:神戸新開地・喜楽館(神戸市兵庫区新開地2-4-13)
出 演:笑福亭鉄瓶 桂佐ん吉 桂ちょうば 桂三四郎 林家染吉 ほか

司 会:伊藤史隆 桂紗綾(ABCアナウンサー)
料 金:前売/当日共 4,000円(税込)
    10月26日(土)より、

チケットぴあ(Pコード:597-410)/喜楽館チケット窓口で販売
問合せ:神戸新開地・喜楽館 078-335-7088(午前11時~午後5時)
放 送:決勝の模様は、ABCラジオで完全生中継。

決勝では、喜楽館にお集まりのお客様に加えて

ABCラジオで生中継をお聴きのリスナーの皆様にも

オンラインで「審査」に参加をしていただく予定です。

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