東海テレビの昼の連続ドラマ 『花嫁のれん』の制作チームが「第40回ATP賞」にて、日本のコンテンツを広く世界にアピールし、海外展開への実績を認められたとして「特別賞」を受賞しました。
「ATP」とは、一般社団法人全日本テレビ番組製作社連盟の略称。製作会社の社会的機能を高め、制作スタッフ一人ひとりの情熱や気概に応えるために、創り手である製作会社のプロデューサーやディレクターが自ら審査委員となって優れた作品を選ぶ、日本で唯一の賞として1984年に「ATP賞」を創設。ドラマ部門、ドキュメンタリー部門、情報・バラエティ部門の3つのジャンルで作品を募集し、毎年200本近い応募作品の中から、グランプリ、最優秀賞、優秀賞などが選ばれています。
『花嫁のれん』は東海テレビの制作により、フジテレビ系列で放送された昼ドラで、2010年、2011年、2014年、2015年とシリーズ化されました。石川県金沢市の老舗旅館を舞台に、元キャリアウーマンの嫁・神楽奈緒子(羽田美智子)と伝統文化を重んじる姑・神楽志乃(故・野際陽子)の嫁姑バトルを明るく描いた作品です。
日本での放送後は英語圏やアジア圏、さらにスペイン語圏など、およそ30の国や地域で、放送・配信され、日本では普遍的な嫁姑問題に加え、着物や旅館といった文化が海外へ広く発信されたことが高く評価されました。
表彰式に出席した主演の羽田美智子さんは、
「この作品は私にとってもすごく特別な作品で、今から10年以上前に撮った作品ですが、私に人生を教えてくれたドラマでした。当時、昼ドラという枠で放送したドラマですが、月曜日から金曜日のお昼30分の番組。週5日の30分を撮るのに、撮影は1日大体100数ページ分を撮るんですね。そのセリフを覚えるのが週の3日間。大体2時間ドラマの1冊半分位のドラマを3日間で入れて、4日間で撮影をするというスケジュールになってくるんですが、それを高齢の野際さんも同じようにこなされていた。そんな先輩の姿を見させていただいたドラマでした。
本が面白くて、30分の中に起承転結があり、明日も見なきゃと思わせる最後のハプニングで終わらせることを、ずっと続けていくんですね。こちらにいるプロデューサーの方たちにも楽しい現場作りをしていただいて、現場はとても笑いあり涙ありで、この仕事があったから今の私があると思える作品でした。
こんなにつらい思いをした作品だから、テレビで流れて終わりは嫌だなあと思ったんです。この作品が長く長く続くといいのになあと思っていたら、世界に羽ばたいていってくれました。嫁姑問題は世界共通だそうです。言語を超えて、言葉を超えて理解していただける感情だそうで、嫁姑戦争は世界一緒なんだなということもわかって、ますますこれから海外に羽ばたいていってくれることを祈っています。
天国にいらっしゃる野際陽子さん、そして山本圭さんにもいい報告ができると思って、うれしく思います。
また、今年1月1日、日本に激震が走った能登半島地震のニュースですが、ドラマはまさしく石川県の金沢市、七尾市、能登が舞台でした。現地の方に大変お世話になった地域が被害にあわれたことを大変心苦しく思っています。きょうこのうれしい報告ができることを感謝申し上げます。1日も早い復興を祈って、またできることから始めたいと思います。本当に特別賞ありがとうございました。心から感謝申し上げます。」と語りました。