VALSHEが7月28日(日)、SHIBUYA DIVEにて全国13ヶ所を巡るツアー<VALSHE GREETING TOUR SCHRODINGER’s V>のファイナル東京公演を開催した。同公演のオフィシャルレポートをお届けする。
2024年1月14日の東京公演開催から、ファン投票にて選出された13ヶ所を巡ってきたVALSHE。7ヶ月という長い旅路の中、「箱の中身は開けてみるまでわからない」というツアータイトルになぞらえたテーマの元、ひとつとして同じではない13公演をこなしてきた。
14公演目となるツアーグランドファイナルは始発点である東京・SHIBUYA DIVEにて開催。VALSHEの登場を待ち受けるフロアに、電子的なサウンドが特徴のオープニングジングルが響きわたる。何度か旅に同行してくれたファンなら、ファイナル公演のみこのサウンドが重厚感あるものにアレンジされていることにきっと気づいたことだろう。
空気が張り詰めたステージに現れたのは、昨年9月に公開された新ビジュアル衣装に身を包んだVALSHEの姿。燃える赤、燃え尽くした黒、燃えていく白の3色で構成された衣装は、不死をイメージしている。赤色に包まれた指先が、静まり返ったフロアに向かって伸ばされる。「いくぞお前ら!」「PLAY THE JOKER」の箱の鍵を開ける音と共にVALSHEの高らかな咆哮が響き渡った。
数あるVALSHE楽曲の中でも際立った存在感を放つ楽曲とVALSHEの伸びやかで勢いのある歌唱、そしてファンの興奮の声に会場の空気は開始早々高まっていく。「声出していこうよ!」の声に呼応するファンの合いの手。一度として同じ瞬間が訪れないとわかっているからこそ、フロアもなにもかも巻き込んでライブを楽しむVALSHEのパフォーマンススタイルは大きな魅力の一つと言えるだろう。
ファンを真っ直ぐに見渡し、全力で腕を振り上げる姿からは最高の形でツアーを完成させるという確固たる意思が感じられた。
歌い終わりVALSHEの名を呼ぶ歓声もじっくり聞く間もなく、ドラムロールの音が鳴りはじめる。赤いベールを思わせる末広の衣装を妖艶に舞い上げ、一回転。怪しく凶暴な世界観を歌い上げる「John Doe」の姿が舞台上に現れた。
まるで誰かに成り変わったかのような豹変ぶりに、息を飲む音と震え声のような歓声が入り混じってあがる。前楽曲の激しい動きから一転、余裕あるステップでステージを闊歩する姿に会場が釘付けとなった。時折しゃがみ込み品定めするようにファンを眺める姿は楽曲に登場する“John Doe”そのものだった。
赤と黒に一瞬点滅する照明と共に妖しい笑い声が木霊する。ジャジーなロックサウンドを背に、掴めない表情をしたVALSHE。まるでその場を掌握するようなパフォーマンスでファンを魅了した。
温度を上げつつ緩急差を見せつけた盛り上がりを煽るかのように「今生、絢爛につき。」の三味線の音が降りかかる。
VALSHEライブといえば、と言えるほどの定番曲。早々の登場に照明もペンライトも赤く染まり、会場の熱量は上がる一方となった。
曲の中盤、オーディエンスとのコール&レスポンスを楽しめるのはこの楽曲を生で体感する醍醐味と言えるだろう。語尾をあげファンに疑問風で掛け合いを仕掛け、煽るVALSHEの姿が見られるのはLIVEに訪れた人々の特権である。
「みんな来ちゃったよ、グランドファイナルだ!」──VALSHE
終着を惜しむような咆哮と共に初めてのMCがスタートした。まず語られたのは長い旅路の中で気にし続けてきた天候に関する話題。LIVE後に高確率で襲いかかる雨を心配するコミカルなMCは会場の空気を和ませた。「今この時期にしかできないファンとのコミュニケーションを大事にしたい」というVALSHEの願望がここにもまた垣間見えた。
「あなたを楽しませる準備は120%に仕上がっています」と、ツアーを見守ってくれているファンはもちろんこの日初めて参戦するファンに対しても楽しませることを約束する。
「この旅の中でたくさん皆さんと音楽を紡いでキャッチボールをして、楽しい時間と思い出に残る時間をつくってきました。だけどここでまだ言いたくない。『このツアーは最高だった!』ってまだ言えない。今日この日、もっとできると確信してます。」──VALSHE
グランドファイナルらしいMCで和やかだった会場の熱がまた高まり始める。まだまだ休ませない、頭を振る準備はできているか、と煽りに煽ったにもかかわらず次に始まったのはVALSHEバラード楽曲「街路樹」だった。
唐突な肩すかしにドッと笑いが起こったのも束の間、すぐさま会場の空気は静まり返り、一面が新緑の色となりVALSHEの力強くも切なさも感じる歌唱を見守った。間奏中、フロアを端から端までじっくり見渡してファンの表情を脳裏に焼き付けようとしていた姿が印象的だった。続いた「蒼ノ夏雨」では会場は青く染まり、「街路樹」とともに楽曲にじっくりと感じ入ることができる穏やかで濃密な時間をつくりだした。
ここで<GREETING MISSION>と名付けられたツアーオリジナルの企画MCが入る。VALSHEファンなら盛り上がること間違いなし、と言ったバラエティコーナーで、一通りファンと交流し遊んでから披露されたのは、2010年、VALSHEプロジェクトの始まりを飾った楽曲「NEVERLAND」。この楽曲は今回の14公演では初めて披露された。“当日の1週間前にセットリストが決まった”という本公演だが、この日この楽曲をこのタイミングで組み込んだのはVALSHEの<これから>を示唆するためのものだったのかもしれない。
その後の「moon -sequel-」で静寂に包まれた会場の空気を一転させるかのように始まったのはロック曲の「ジツロク・クモノイト」。迫り来るようなサウンドと共に、VALSHEのシャウトが飛び出しオーディエンスをさらに盛り上げた。
これでもかというくらい空気が高潮したところで、リズミカルに続く「DOPE」。オーディエンスのレスポンスの揃い具合と美しさは見ていてかなり清々しい。その一体感からは長年に渡りファンと同じ時間を共有してきたことを感じさせた。
二度目のMC序盤ではこの日着用の衣装について言及。「綺麗だよ」と言われ照れくさそうにする珍しい姿も見受けられた。
「ツアーが始まったころ、ダウンジャケットとマフラーで入ってきてましたよね、なんて。」──VALSHE
7ヶ月という長いツアー期間と、自身が巡った13ヶ所について改めて振り返っていく。一つ一つの出来事・思い出を胸に一番最高の最後の夜を作りたい、と強く思ったことを打ち明けた。
どの公演も最高だったからこそ、それを超えてグランドファイナルというものを盛大に飾らないといけない。停滞することを知らないVALSHEらしい言葉が、ひとつまたひとつとファンの元へ丁寧に届けられていく。
「呼応するかのように皆さんが今日フロアで熱い姿を見せてくれて、ぐっとくるものが今日はたくさんありました。改めてありがとうございます。」──VALSHE
感謝の言葉を口にして一礼するVALSHE。心からの言葉に、その場にいるファンは皆心から微笑んでいるように思えた。
和やかなMCを経て、ライブはいよいよ終盤へと向かっていく。ミュージックスタートというVALSHEの一声に合わせ始まったのは「micro SOLDIER」。
その後も「RIOT」「INTRODUCTION」と矢継ぎ早にVALSHE曲の中でも王道とも言える重厚なロックサウンドの連続で畳みかけ、このライブを駆け抜けるためのギアは最高最速まで引き上げられてゆく。
一言でロックサウンドとくくるのは簡単だが、この本編最後3曲それぞれの世界観に合わせて歌い方や表情・仕草を使い分け、全く違う形で聴衆を魅了していくVALSHEの表現力は流石と言えるだろう。
歓声と共にVALSHEがステージから姿を消す。
少し明るくなった会場内は「VALSHE」を熱く呼ぶ声に溢れ、それはやがてステージ帰還を望むアンコールに切り替わった。
力強いアンコールを切り裂くように、雷鳴が会場を包み込む。プロジェクターに写されているライブロゴが溶け出し、代わりに流れ出したのはミニアルバム新リリースの告知映像だ。
スクリーンに次々と映し出される新情報の羅列に感嘆の声、そして悲鳴のような声がフロアから上がる。新ビジュアルが公開された瞬間、会場を覆い尽くしたのは絶叫だった。
<VALSHE 8th mini ALBUM「storyteller III 〜THE SCARY STORIES〜」>満を侍して新生VALSHE1作目として発表したのは、VALSHEのデビュー作品「stoyrteller」シリーズだった。シリーズとしては三作目となり、“Ⅱ”が発表された2014年以来、実に10年振りの<続編>。
告知映像が流れた後、ステージに舞い戻ったVALSHE自身からも新鮮な報告が届けられる。喜びからなのか衝撃からなのか咽び泣く声も聞こえる中「期待していてください」とまっすぐな言葉が届けられた。
ファイナル公演に至るまで、数ヶ月間水面下で制作活動を並行しながら全国ツアーに臨んでいたことを打ち明ける。そしてこれからの目標、ファンと共に行きたい場所、叶えたい夢について語られた。
会場を包む大勢の拍手からは、「一緒に行こうね」とVALSHEとの未来に期待で胸をいっぱいにするオーディエンスの暖かい心が感じられた。
しみじみとしたMCの後に始まったのはポップで明るいテンポが特徴の「Are you Ready?」。色とりどりなペンライトと照明が包む中、重大な発表を無事にやり切り、どこか安心しているような様子のVALSHEが高らかに歌い上げた。
「Are you Ready?」を歌い上げた後のMCで、さらなる情報告知が続いた。
VALSHEのデビュー日となる9月23日にコンセプトライブ<VALSHE CONCEPT LIVE「storyteller III 〜THE SCARY STORIES〜」>とアニバーサリーライブ<VALSHE Birthday Party ’24 〜VAL FIRST LIVE〜>昼夜にわたる2タイトルでの同日公演が決定したことを伝えた。
<「storyteller III 〜THE SCARY STORIES〜」>のリリース発表直後のコンセプトライブ開催告知に会場がさらに沸き立つ。<VALSHE GREETING TOUR SCHRODINGER’s V>の公演はこの日を持って終了となるが、そこで簡単に終わらないのがVALSHEである。
新しい未来の約束を持ってきたことに、安堵と期待を改めて覚えたファンもきっと多かったことだろう。
次への楽しみも抱えながら、東京ファイナル公演はフィナーレへと向け舵を切った。
今回のツアーではまだ一度も披露されていなかったVALSHEの代表曲「Butterfly Core」が始まる。高く天を指す姿は、未来・高みへと向かう準備はできているか?とまるでファンに語りかけるようだった。
オーディエンスの温度感を丁寧に上げきったステージの最後を飾ったのは、デビュー当時から共に歩み続けてきた楽曲「Myself」。
「最高に楽しい7ヶ月だった!忘れられない7ヶ月になった。みんなほんとにほんとにほんとにありがとう!」──VALSHE
新曲が出せる喜びに声をあげ、みんなで一緒に頑張ろうねと語りかける。いつだってVALSHEのステージの終わりを飾るのは心からの感謝の言葉だ。
深々と礼をし、ありったけの「ありがとう」を伝えてVALSHEはステージから旅立ち、次の未来へと進み始めた。
7ヶ月の旅路を経て気づいたこと、再確認したこと、叶えたいと思った夢。あらゆる思いがVALSHEはもちろん、ファンの胸をいっぱいにしたことだろう。その全てを糧とし、原動力に変えて9月にまた大きな大きな化学反応が起きることを期待している。
<取材・文:Ellie Yoshida 撮影:Kyoichi Sugisaki>
◆VALSHE GREETING TOUR「SCHRODINGER’s V」 東京公演[final]
7月28日(日)@SHIBUYA DIVE
<SETLIST>
01.PLAY THE JOKER
02.John Doe
03.今生、絢爛につき。
04.街路樹
05.蒼の夏雨
06.NEVERLAND
07.moon-sequel-
08.ジツロク・クモノイト
09.DOPE
10.micro SOLDIER
11.RIOT
12.INTRODUCTION
encore
en1.??? ※secret
en2.Are you Ready?
en3.Butterfly Core
en4.Myself
◆商品情報
2024年9月18日(水)発売
VALSHE「storyteller III 〜THE SCARY STORIES〜」
<通常盤>
COCX-42354
¥4,000+税
※三方背スリーブ仕様
https://lnk.to/VALSHE_storyteller_III_EC
<完全受注生産盤>
DZCD-10001
¥14,800+税
※A4サイズ特装ブックレット(全58P)
※完全受注生産盤は特設サイトのみの限定販売商品となります。他オンラインショップや店頭では販売しておりませんのでご注意ください。
◆ライブ情報
開催日:2024年9月23日(月祝)
会場:GRIT at Shibuya
(1部)
VALSHE CONCEPT LIVE「storyteller III 〜THE SCARY STORIES〜」
OPEN 13:30 / START 14:00
(2部)
VALSHE Birthday Party ’24 〜VAL FIRST LIVE〜
OPEN 17:30 / START 18:00
チケット料金:¥6,600(税込)
7月28日20:00〜 ファンクラブ先行受付(抽選)開始!!
一般発売:2024/9/1(日)12:00〜
https://valshe.tokyo/news/event/1228/
◆関連リンク
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