アカデミー賞短編部門につながるオフィシャルコンペティション supported by Sony、ノンフィクション部門、アニメーション部門、スマートフォン映画作品部門 ほか全9つのアワードを発表
今年24年目を迎えた米国アカデミー賞公認・アジア最大級の国際短編映画祭ショート ショート フィルムフェスティバル & アジア(SSFF & ASIA)は、Meta Cinemaをテーマに、AI脚本家によるショートフィルムの上映や、VR空間「DOOR™」シアターでのVR作品含む上映、トークイベント、スマートフォン、縦型映像、ゲーム映画といった多彩で先進的な映像表現を紹介、脳波を分析するニューロサイエンスが未来の映像制作にどう活用できるかをディスカッションするセミナーなど、本映画祭ならではの新たな展開にも挑戦しました。本日、明治神宮記念会館で行われたアワードセレモニーでは、9のアワードの受賞発表・授与が行われました。
国内外から集まった5,000本以上の中から選ばれた、世界で唯一のジョージ・ルーカスの名を冠したグランプリには、レバノン/フランスのダニア・ブデール監督による『天空の孤高』が選ばれました。
翌年のアカデミー賞短編部門ノミネート候補となる、オフィシャルコンペティション supported by Sonyの各部門(インターナショナル、アジア インターナショナル、ジャパン)およびノンフィクション部門、アニメーション部門の各優秀賞も発表されました。
「ここへきて、SSFF & ASIA の日本作品のレベルの向上に驚いている。テーマ、社会性、監督の技量等・・・それは私だけではなく関係者はもとより観客もそう感じるに相違ない」(ジャパン部門審査員:奥田瑛二さん)、「その国らしさを持ちながら、一方でどれも世界にあふれる暴力や孤独にある人々の心を感じさせるものであったように思う。」(アジア部門審査員:パスカル・フォールさん)、「「短編である事」を言い訳にせず「短編だから出来る事」そして「短編なのに」まるで長編映画を一本見たかのような満足感、胸に余韻を残す作品がたくさんあった。」(インターナショナル部門審査員:玄理さん)と評された今年のオフィシャルコンペティション supported by Sonyほか、各部門の受賞結果を以下にお知らせいたします。
なお、各受賞作品は6月30日(木)まで、映画祭オンライン会場グランドシアターにて特別延長配信をいたします。ぜひご紹介いただけますと幸いです。 https://www.shortshortsonline.org/
SSFF & ASIA 2022グランプリ「ジョージ・ルーカス アワード」受賞作品
オフィシャルコンペティション supported by Sony インターナショナル部門 優秀賞
【第95回アカデミー賞短編部門ノミネート候補】
『天空の孤高』(Warsha)監督:ダニア・ブデール(Dania Bdeir)
15:42 / レバノン/・フランス / ドラマ / 2021
モハマドはベイルートで働くクレーンオペレーター。ある朝、レバノンで最も背が高く、危険なことで知られるクレーンに乗ることを志願する。そして誰の目も気にせず、秘密の情熱を燃やし、自由を味わう。
【ダニア・ブデール監督】
レバノン系カナダ人の脚本家/監督。Brooklyn Filmmakers Collectiveのメンバー。ニューヨーク大学芸術学部で映画制作を学び、美術学修士を取得。
【受賞理由】ストーリーテリング、映像、演技のすべてにおいて素晴らしい作品。1つ1つの瞬間および感情がとても細やかに描かれており、観客を作品の世界へ引き込む圧倒的な美しさと力強さを持った作品であった。
アジア インターナショナル部門 優秀賞 / 東京都知事賞 【第95回アカデミー賞短編部門ノミネート候補】
『モシャリ』(Moshari)
監督:ヌハシュ・フマユン(Nuhash Humayun)
21:57 / バングラデシュ / ホラー / 2022
「モシャリ」とは東南アジアで使われる蚊帳で、夜間の害虫除けに使われる。血に飢えた吸血鬼が蔓延る世界ではモシャリは唯一安全な場所だ。舞台はバングラデシュの首都ダッカ。二人の姉妹は危険な夜を生き延びるためモシャリの中に留まらなければならないが、限られた空間の中で二人は互いの存在を耐え合わなければならない。
【ヌハシュ・フマユン監督】
バングラデシュ人の脚本家兼監督。南アジアのアイデンティティを題材にした作品づくりに興味を持っている。代表作は、サウス・バイ・サウスウェストのMidnight Shorts部門で審査員特別賞を受賞した「モシャリ」、サンダンス・インスティチュート、米非営利団体Film Independent 、カンヌ国際映画祭併設見本市“マルシェ・ドゥ・フィルム”の支援を受け制作した長編映画「MOVING BANGLADESH」など。Sundance Feature Film Development Trackのフェローに選ばれた初めてのバングラデシュ人である。
【受賞理由】観客を意識したエンターテイメント志向の高い作品。ホラー作品として驚きを与える演出技術に加え、現代らしさを上手く取り込んだキャラクター設定とストーリー展開でより観客を映画の世界に引き込む力のある作品に仕上がっていた。
ジャパン部門 優秀賞 / 東京都知事賞【第95回アカデミー賞短編部門ノミネート候補】
『THE LIMIT タクシーの女』(THE LIMIT Taxi Girl)
監督:吉田真也/ 23:23 / 日本 / ドラマ / 2021
弁護士の咲希は仕事で空港に向かうため、待機していたタクシーに乗り込んだ。しかし、そのタクシーの運転手は咲希を待ち伏せしていた妹の里美で、姉の意に反し、危篤状態にある母のいる病院へ車を走らせるのだった。
【吉田真也監督】
広告制作会社に所属し、主にTVCMなどの演出をしている。学生時代より、映画監督の中島哲也氏の元で映像制作を学び、同氏プロデュースによるオムニバス映画「ヘアスタイル」の一編を監督し劇場公開された。
【受賞理由】ほぼワンシチュエーションで描かれたエンターテイメント作品。会話劇ながら登場人物の関係性・価値観が見事に伝わる脚本、そこに主演二人の圧倒的な演技でさらに説得力が生まれ、完成度の高い作品に仕上がっていた。
■オフィシャルコンペティションの応募数と上映数(米国アカデミー賞短編部門ノミネート選考対象部門)
・インターナショナル部門 応募数:2,282作品(80の国と地域) 上映数:35作品
・アジア インターナショナル部門 応募数:639作品(23の国と地域) 上映数:25作品
・ジャパン部門 応募数:342作品 上映数:27作品
■優秀賞賞金:60万円
■公式部門審査員(五十音順/敬称略):インターナショナル部門 奈良橋陽子、玄理、ユン・ジェホ
アジア部門 樋口真嗣、パスカル・フォール、渡辺真起子 ジャパン部門 奥田瑛二、杉野希妃、ハッサン・ファジリ
ノンフィクション部門 優秀賞 【第95回アカデミー賞短編部門ノミネート候補】
『迷惑なクマ』 (Nuisance Bear)
監督:ジャック・ワイズマン & ガブリエラ・オシオ・ヴァンデン
(Jack Weisman & Gabriela Osio Vanden)
13:52 / カナダ / ノンフィクション / 2021
カナダのマニトバ州チャーチルはホッキョクグマが撮影できる場所として知られている。この場所で撮影される熊の姿は野生の象徴として様々な媒体で紹介されるが、果たして熊たちは人間のことをどう見ているのだろうか。本作は熊の移動経路に障害物として存在する我々人間の姿を映し出す。
【ジャック・ワイズマン監督・ ガブリエラ・オシオ・ヴァンデン監督】
Jackは、トロント国際映画祭、サンダンス映画祭、サウス・バイ・ウエスト、アムステルダムドキュメンタリー国際映画祭、True/False映画祭、Hot Docs映画祭など主要映画祭で受賞歴のある監督・撮影監督・プロデューサー。監督デビュー作の本作は、カナダ・スクリーン・アワード2022で最優秀短編ドキュメンタリー映画にノミネートされ、トロント国際映画祭2021で最優秀カナダ短編映画賞を受賞した。
Gabrielaはトロントを拠点に活動するベネズエラ系カナダ人の撮影監督。自らの描い絵画を背景に踊るプロジェクトがトロント国際映画祭やCamerimage国際映画祭、サウス・バイ・ウエスト、アムステルダムドキュメンタリー国際映画祭、True/False映画祭など各地で上映された。彼女の卒業制作「Rambler」で著名な撮影監督フェドン・パパマイケルの下でのインターンシップを獲得し、彼が撮影監督を務めたアレクサンダー・ペイン監督の「ダウンサイズ」で撮影アシスタントを務めた。ヨーク大学で映画制作の修士号を取得。本作は監督としてのデビュー作となる。
【受賞理由】 全てのショットが考え、選び抜かれた美しさと説得力を持っており映画としての完成度が高いだけでなく、そのメッセージ性の強さからも今ぜひ人々に届けたい作品。
■ノンフィクション 部門 応募数:335作品(55の国と地域) 上映:13作品
■優秀賞賞金:60万円
■審査員:樋口真嗣、パスカル・フォール、渡辺真起子
アニメーション部門 優秀賞 【第95回アカデミー賞短編部門ノミネート候補】
『エアボーン』 (Airborne)
監督:アンジェイ ジョブチェク(Andrzej Jobczyk)
7:36 / ポーランド / アニメーション / 2021
航空機と動植物の世界をつなぐ、シュールなアニメーション。戦いに夢中になったパイロットがターゲットを見失い、飛行機が木に激突する。終わりのように見えたこの悲劇が、歴史の新たな扉を開く。
【アンジェイ ジョブチェク監督】
1985年生まれ。芸術家と造園家の両親の元に育つ。芸術専門の高校で絵や彫刻を学び、その後写真やアニメーションの方面へ進んだ。
【受賞理由】使用されている色が限定的にもかかわらず、オリジナルでアート性の高い美しい作品。命の循環という普遍的なテーマ を扱いながら具体的なキャラクターを登場さ せずにメッセージをしっかりと観客に届ける力がある、今多くの人に届けたい作品。
■アニメーション部門 応募数 :513作品(62カ国) 上映:23作品
■優秀賞賞金:60万円 ■審査員 (五十音順/敬称略):筧昌也、真瀬樹里、杉山知之
Cinematic Tokyo部門 優秀賞(東京都知事賞)
『Tokyo Rain』
監督:ミシェル・ヴィルド & ローベルト・シュナイダー
(Michel Wild & Robert Schneider)スイス/ 12:07 / ファンタジー / 2021
東京を襲う大雨。マサヒロは一人で残業しながら、心配する妻と電話をしている。パソコンでの単調な事務作業が続き、居眠りしてしまうマサヒロ。恐ろしい悪夢を見て目を覚ますと、全てが以前とは変わっているように見える。
【ミシェル・ヴィルド 監督・ ローベルト・シュナイダー監督】
Michel Wild :イラストレーター・漫画家・ミュージシャン・フィルムメーカー。様々な方法で物語を語ることを好み、短編映画・アニメーション映画・ミュージックビデオ・企業VPなどを制作している。「Tokyo Rain」では、脚本・監督・音楽・美術・編集を手がけた。
Robert Schneider:映画制作と写真撮影に取り憑かれている。フロントエンドエンジニアとして10年以上のキャリアを持ち、日本を頻繁に訪れている。Michelとのコラボレーションとなった本作は彼の2作目の短編映画で、プロデューサー、撮影監督、カラリスト、照明、テクニカルマネージャーを担当した。
【受賞理由】ストーリー展開に加え、グラフィックの映像美や環境問題の要素も含み、総合的にハイクオリティで魅力的な作品であった。
■Cinematic Tokyo 部門 応募数:257作品(46の国と地域) 上映:7作品
■優秀賞賞金:100万円
スマートフォン映画作品部門 supported by Sony‘s Xperia 優秀賞
『コーリャの目』(EYES)
監督:オルガ アズナキナ(Olga Azhnakina)8:08 / ロシア / ドラマ / 2020
コーリャは死んだ。誠実で、良き息子、夫、友人、そして隣人であった。しかし誰も彼のことを正確に思い出せない。
【オルガ アズナキナ監督】
1982年2月7日ウクライナ生まれ。2021年に全ロシア国立映画大学を卒業。より良い世の中になるような映画作りを目指している。人生と人を題材に、すべてのものがどれだけ壊れやすいかをテーマにした作風が特徴。
■スマートフォン映画作品部門 supported by Sony 応募数:602作品(71カ国) 上映:15作品
■優秀賞賞金:60万円 ■審査員 (五十音順/敬称略):奥田瑛二、杉野希妃、ハッサン・ファジリ
HOPPY HAPPY AWARD
『じいのけ』(A Strand of Regret)
監督:道上寿人
23:10/ 日本 / ドラマ / 2021
突然、じいちゃんが死んだ。
枕経を行うため、家に集まる親族達。
少年・唯人(ゆいと)は、ある罪の意識から祖父の顔を見れないでいた。
「じいちゃん、ごめん。」
そのたった一言を告げるため、小さな一歩を踏み出す。
【道上寿人監督】
石川県出身。29歳。
進学を機に、札幌に移住。
在学中に映画制作の楽しさに目覚める。
卒業後すぐに、札幌を拠点としてクリエイティブプロダクション<ウツワニウム>を設立。
会社経営と並行して、短編映画を中心とした映像作家の活動も精力的に行っている。
【ショートショート フィルムフェスティバル & アジア 2022 概要】
■開催期間:6月7日(火)~6月20日(月)
※オンライン会場は4月28日(木)~6月30日(木)
■上映会場:オープニングセレモニー会場LINE CUBE SHIBUYA
ユーロライブ
表参道ヒルズ スペース オー
TORQUE SPICE & HERB, TABLE & COURT
iTSCOM STUDIO & HALL 二子玉川ライズ
赤坂インターシティコンファレンス
※開催期間は各会場によって異なります。また、変更になる場合もございます。
■オフィシャルサイト: https://www.shortshorts.org/2022
■主催:ショートショート実行委員会 / ショートショート アジア実行委員会