金曜日, 11月 22, 2024
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鈴木真海子が2ndアルバム『mukuge』を携え恵比寿ガーデンホールでワンマンライブを開催

鈴木真海子が2ndアルバム『mukuge』を携え恵比寿ガーデンホールでワンマンライブを開催のサブ画像1_photo by 横山マサトphoto by 横山マサト

chelmicoとしても活動する鈴木真海子が、自身の誕生日である6月26日にリリースした2ndソロアルバム『mukuge』を携え、同タイトルのワンマンライブを7月12日に東京・恵比寿ガーデンホールで開催した。

定刻となり、幻想的なシンセサウンドが鳴り響く中、まずはサポートメンバーであるRyo Takahashi(Dr)、井上真也(Ba)、沼澤成毅(Key, Ob)、ESME MORI(Key)、そしてTiMT(Gt)がステージに登場。一段高くなった段上に横並びとなり、周囲から「クラフトワークみたい!」と歓喜の声が上がった。遅れて現れた真海子はブルーグレーのセットアップを身にまとっている。後のMCで彼女が明かしていたが、これは「うつつ」のミュージックビデオでダンサーのソラキ(THE D SoraKi)が着用していたものだ。

一瞬の静寂の後、スリリングなベースラインに導かれ「EO」からライブはスタート。『mukuge』の最後に収録されていたこの曲は、アコースティックでブラジルミュージック色が濃かったアルバムの中で、ひときわ異彩を放っていた不穏なヒップホップチューンだ。そのまま1stミニアルバム『Deep Green』収録の「19」につなげ、音源ではローファイかつミニマルだったブレイクビーツを、オルガンサウンドを前面にフィーチャーした哀愁のラテンロック風味にアレンジしてみせた。

鈴木真海子が2ndアルバム『mukuge』を携え恵比寿ガーデンホールでワンマンライブを開催のサブ画像2_photo by 横山マサトphoto by 横山マサト

「こんばんはー! 鈴木真海子です。よろしくね」と元気よく挨拶した後、『mukuge』の冒頭を飾る「うつつ」を披露。自宅にある傾いたサボテンを眺めながら、アコギを弾いているうちに生まれたというこの曲は、荒井由実の初期曲を思わせるような、可愛らしくも洗練されたメロディが印象的。一つひとつの言葉を確かめるように、丁寧に歌い上げる真海子の少しハスキーな歌声が心のひだに染み渡る。

TiMTの弾くアコースティックギターから始まった「お酒を飲んだ夜」は、ブルックリンを拠点に活動するシンガーソングライター、メイ・シモネスとコラボしたアコースティックな楽曲。ライブでは途中からバンドも加わり、真海子の歌をそっと支えながらじわじわと盛り上げていく。それに呼応するかのような、アドリブのスキャットもたまらなくキュートだ。

鈴木真海子が2ndアルバム『mukuge』を携え恵比寿ガーデンホールでワンマンライブを開催のサブ画像3_photo by 横山マサトphoto by 横山マサト

その後もパーシーことTOSHIKI HAYASHI(%C)と2018年に共作したソウルチューン「金木犀」や、リズミカルなピアノの上を、ほのかにビートリッシュなメロディが乗ったシャッフル曲「Come and Go」、この日のバンマスであり『mukuge』の制作にも大きく貢献した、ryo takahashiのガットギターを伴奏にしっとりと歌い上げた「kimochi」など、真海子の「メロディーメイカー」としての才能を、ひしひしと感じさせる楽曲を次々と披露していく。

白眉だったのは、『mukuge』の中でもとりわけ印象的だった「5月のうみ」。広大な海が目の前に広がるような前半のアコースティックなセクションから(曲名の「うみ」は、「海」ではなく「膿み」なのだが)、日常の景色を切り取りながらも自己の内面へと深く潜っていくラップのセクションへ。寄せては返す波のように、「静」と「動」を行き来するダイナミックな演奏と、まるでストーリーテラーのような真海子のボーカル表現に、一遍の映画を見終わったような気分を味わった。

鈴木真海子が2ndアルバム『mukuge』を携え恵比寿ガーデンホールでワンマンライブを開催のサブ画像4_photo by 横山マサトphoto by 横山マサト

後半は、バンドメンバーのソロバトルを披露した「空耳」、オーディエンスとシンガロングで一体感を高めた「どっかの土曜日」、真海子流ネオソウルチューンとでも言うべき「judenchu」など、前作『ms』からの楽曲も交えながら進んでいく。真海子が「この日のために買った」と言うグロッケンシュピールを、テンポがくるくる変わるどこかエキゾティックな楽曲「紀尾井茶房」で披露する一幕も。

鈴木真海子が2ndアルバム『mukuge』を携え恵比寿ガーデンホールでワンマンライブを開催のサブ画像5_photo by 横山マサトphoto by 横山マサト

ライブアレンジでさらにアップグレードされたスウィングジャズ曲「からから」、ロックなアレンジが施された「Lazy river」でフロアを沸かし、ストレートで情熱的なラブソング「in a bubble with u」で本編は終了。アンコールでは「Blue」「Contact」と1stミニアルバム『Deep Green』から2曲を歌い、自身の「原点」を確かめる形でこの日のライブを締めくくった。

chelmicoとソロ名義の活動を行き来しつつ、信頼できる音楽仲間を増やしながらアーティストとして着実に成長し続けている鈴木真海子の「現在地」を確認するような、充実した夜だった。

なお、この日のライブがソールドアウトになったことを受け、追加公演を7月20日に神奈川・横浜ベイホールにて開催。さらに、chelmicoのサマーソングが3曲入ったニューEP『ati natu ep』が7月24日にリリース、9月からはワンマンツアーも控えている。

 

<リリース情報>

2nd album

鈴木真海子 『mukuge』各種配信サービスにて配信中 

https://orcd.co/mukuge_kiitene

<ライブ情報>

鈴木真海子ワンマンライブ-mukuge- 追加公演

7/20(土)横浜ベイホール

チケット一般発売中

ぴあ:https://t.pia.jp/pia/artist/artists.do?artistsCd=L7050004

<鈴木真海子プロフィール>

東京都出身。2014年にchelmicoを結成。

2017年にリリースしたEP「Deep green」をきっかけに神奈川県を拠点に活動する『ご近所録音チーム』ことPistachio Studio(ピスタチオスタジオ)に所属、鈴木真海子としてソロ名義をスタートする。2021年1st album『ms』をリリース、STUTS / TOSHIKI HAYASHI(%C) / yonawo / PAS TASTA / idomなど、様々な作品にも客演アーティストとして参加する。本年度は、大塚製薬ポカリスエット新CMへの書き下ろし楽曲「からから」、花王の新ヘアケアブランド『melt』タイアップ楽曲「kimochi」が収録された2nd album「mukuge」を6月26日にリリース。

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