真保裕一さんの新連載小説「英雄」は、昭和から令和の日本社会の変遷を背景にした壮大なサスペンス。実の父・英雄が殺害されたことを知った植松英美は、その過去を調べ始めます。裸一貫から日本有数の企業グループ総帥にのし上がった父はなぜ殺されたのか? 母はなぜ父と結ばれたのか? 全3回の集中連載です。
「キッズ・アー・オールライト」は、22年度読書メーター第1位『ワンダフル・ライフ』が話題の丸山正樹さんの長編です。ストリートチルドレンの元締めのシバリが出会った、過酷な現実を生きる日系ブラジル人の少年たち。SOSを発するケアラーの少女。現代社会の「見えない存在」に焦点を当てる渾身の連載です。
篠田節子さんの「妻をめとらば才たけて」は、パンデミックミステリの名作『夏の災厄』の著者によるコロナ禍を題材にした待望の新作中編です。列車内にはなぜ骨壺は置き去りにされたのか。緊急事態宣言下のもと、飲み会をたのしむ定年男性3人組。感染症と世相を見事にとらえた現代コロナ小説の傑作です。
小川公代さんの「世界文学をケアで読み解く」は、『ケアの倫理とエンパワメント』で注目の英文学者による連載評論。現代人が失いつつあるケアを『ワーニャ伯父さん』のモチーフを響かせる村上春樹原作の映画「ドライブ・マイ・カー」で論じ、マルクス、ヴェーバー、フーコーのケア思想にもわけいります。
前号に一挙掲載した芥川賞受賞第一作『生を祝う』は、発売直後から様々なメディアで紹介され大きな反響がありました。執筆のきっかけ、作中に込めたアイロニー、「親ガチャ」という言葉、理想とする小説の形。12月7日の単行本版発売にあわせて李琴峰さんのロングインタビューを掲載しています。
昨年デビュー20周年を迎えエンタメの最前線で活躍を続ける伊坂幸太郎さんと雫井脩介さん。初対談「創作の醍醐味はどこにあるか」では、知られざる親交と創作の「核」について語られます。本対談の前半はAERA dot.で先行掲載中!こちらもぜひお読みください。
https://dot.asahi.com/dot/2021120300065.html
大正から昭和へ、二つの国の狭間で激動の時代を生きた李方子。昭和天皇・皇太子裕仁のお妃候補として取り沙汰されるも、運命に翻弄され、大韓帝国最後の王世子と結婚することに。片や市井から方子に憧れつつ、策謀に巻き込まれていく女性・マサ。深沢潮さん渾身の大河小説「李の花は散っても」が遂に完結です。
小説TRIPPER(トリッパー)2021年冬季号
定価:1320円(本体1200円+10%)
発売日:2021年12月18日(土曜日)
https://www.amazon.co.jp/dp/B09L3R7BHW