日本初の全国組織として設立された全日本流し協会(AJNA)が発足!
「流し」と聞いてまず何が思いつくだろう
灯籠流し?
流し台?
いいえ
今回の「流し」は、夜な夜な飲食店街などで歌やパフォーマンス活動を行う「流し」である。
聞けばあの北島三郎さんや渥美二郎さん、美川憲一さんも流しの出身というではないか
筆者は今回そんな稀有なジャンル「流し」について代表的な団体に話を聞いてみた。
流しとは・・・
歩き流しながら芸を行いお客様に見せてチップをいただいて生活している人と、その行為そのもの。
流しの起源は一説には、江戸時代に瓦板の読み聞かせをしていた演説師がお店を転々と“流れるよう”に歌を披露していたことから「流し」と呼ばれるようになったとされている。
明治時代から昭和時代にかけて繁華街を中心に盛んに流しが行われていたが、
平成に入り普及したカラオケと反比例するように数を減らしていった。
その後2010年代に入り飲食店が密集する「横丁」人気が高まってきた事をキッカケに、再び流しアーティスト・団体が生まれるようになってきた。
現代の流し
現代の「流し」はギター弾き語りだけでなく様々なジャンルがあるそう
全国の横丁にふらりと流しが現れ、非日常的な圧巻のパフォーマンスを行う。
さらに流しは人と人をつなぐこともあり、出会いのきっかけがうまれる。
オンライン化が叫ばれる昨今、このなんとも言えないアナログ感が人々の心に刺さっているのだろう。
2023年日本初の全国組織「全日本流し協会(AJNA)」が発足。
全日本流し協会は
「平成流し組合」「柏流し」「NOREN YOI×芸」の三団体を中心に構成され
「流し文化の再興と継承」「社会的地位の向上」などのテーマを掲げ
アーティスト達が一生涯パフォーマンスで生活できる社会の実現を目指す。
協会発足1年足らずだが以下の活動実績が挙げられる
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全国25拠点だったものが33拠点に
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400名だった会員が450名に
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流しセミナー制度「流しの教習所」の定期開催
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日本テレビ「ヒルナンデス」、TBS「ひるおび」「いくらかわかる金」、RAB青森放送「ニュースレーダーWITH」、その他ラジオや雑誌多数に取り上げられる。
目指すは・・・
「横丁文化が100年続く限り、流しも100年以上続く文化になる」と代表理事である岩切大介氏は語り、その目標実現のために全日本流し協会は6つの目標を掲げている
①文化の再興、継承
②全国へ普及
③地位の向上
④健全なガイドラインの共有
⑤適切な税務財務の遂行
⑥行政、著作権団体との連携
流しを「文化的な仕事」として捉え当事者たちの意識改善と労働環境を整備することで、
全国的に流し文化を普及させアーティスト自身の認知度を高める事が期待できると同時に、
関係省庁や行政との連携を深めることで業界の地位向上を目指している。
流しの猛者達が関東に集結・・・
2期目となる今年2024年7月6日(土)に同団体総会が東京都品川区にて開催され、関東在住のメンバーを中心に全国から「流し」猛者達が集結するそう。
「全日本流し協会」
代表理事;岩切大介
理事:中山剛/武田智/遠藤記央
お問い合わせ先:
株式会社芸能
TEL FAX : 044(455)5854
info@geinou.co.jp
「平成流し組合」
代表:中山剛(芸名:パリなかやま)。2015年に発足、所属メンバー約80名の団体はギター弾き語りやヴァイオリン奏者等を中心としている。活動拠点は主に恵比寿、新橋、有楽町等。
「柏流し」
代表:武田智(芸名:サトス)。2010年に発足し、毎月15日を「流しの日」として千葉県柏駅周辺の約25店舗で活動している。地元出身・在住のアーティストが中心である事も特徴。
「NOREN YOI×芸」
代表:岩切大介。2017年にほぼ新宿のれん街を皮切りに発足し、東京だけでなく愛知県や沖縄県にも拠点を増やしている。お笑いや似顔絵、ジャグリングなど従来の流しの枠に収まらない多様なジャンルを特徴としている。
ライター/酒巻孝正