俳優座劇場にて6月12日(水)より上演されている、白い肌に赤い眼を持つ白狐丸(びゃっこまる)シリーズ。川﨑星輝が主演を務めた純愛異形綺譚「刻め、我ガ肌ニ君ノ息吹ヲ 2024」に引き続き、6月19日(水)より⻘木滉平主演、異形の血を継ぐ者「散れ桜よ、刻天ノ証ニ 2024」がスタートする。
初日を前に、青木滉平、沖野晃司、湯本亜美、川﨑星輝と脚本・総合演出の松多壱岱による会見が行われた。
心境や意気込みを聞かれ、青木は「星輝が座長として引っ張ってくれた『刻め、我ガ肌ニ君ノ息吹ヲ』が幕を閉じ、バトンを引き継いで『散れ桜よ、刻天ノ証ニ』が始まります。稽古から座組み一丸となって取り組んできました。みんなのエネルギーを皆さんに届けたいです」、川﨑は「青木と僕は『刻め』から引き続き出演です。また違ったカンパニーの雰囲気を楽しみつつ取り組んできました。とても心動かされる作品になっているのでお楽しみください」と意気込む。
沖野は「おっさん忍者の沖野です」と挨拶して笑いを誘い、「以前、『刻め』で若い頃の外道丸を演じました。今回のオファーをとても光栄に思います。座組みの仲が良く熱量も高いので、本当にいいエンタメ作品になっています」、湯本は「『刻め』チームより女性キャストが少ないということなので、華を添えられるように可愛く頑張ります!」とアピール。松多は「先週『刻め』を終え、地続きの物語ということもあってとても熱い稽古ができました」と自信を覗かせた。
役と作品の見どころを聞かれた青木は「一番見てほしいのは、僕が演じるのは白狐丸の息子・天刻丸の成長です。たくさんの人と出会い、様々なことを知り、触れて、一人前になっていく様子を表現したいと思っています。作品の見どころは、キャスト一同が舞い散る桜のように美しく舞ったり戦ったりする姿です」と語る。
「刻め」で主演を務めた川﨑は「つい2日前に千秋楽を迎え、その熱をそのままバトンタッチできたと思います。役的に僕と青木は親子。親から子に受け継がれている芝居のニュアンスも楽しんでください」と呼びかけた。
沖野は「20代前半で若い頃の外道丸を演じました。今40代手前なので、作中の外道丸と同じくらいの時間が経っています。懐かしさがありますね。あと、スタッフの皆さんがこの作品を好きすぎて、衣装もこっているんですよ。例えば僕の衣装、『刻め』で恋人になった常葉のパーツが付けられていて」と自らの衣装についた花を見せると、川﨑が「それ感動した!」と頷く。続けて沖野が「あと、滉平くんの背中に白狐の背中に書かれていた静の言葉がある。愛のある座組みです」と丁寧な仕事ぶりを讃えていた。
続いて、役作りや本作のポイントを聞かれた湯本は「実は青木さんとは数回しか稽古できていなくて。でも、それが逆に天刻丸といろはの初々しさに繋がったと思います。この作品でも白狐丸の過去が描かれているので、本作だけでも楽しめると思います」と話す。
「散れ」は初の再演で、演出・殺陣は門野 翔が務めている。松多が「門野くんはこのシリーズに何度か出て作品を理解してくれていますし、僕の演出舞台でも殺陣師をやってくれているので世界観を共有しやすく、素晴らしくまとめてくれました。解釈の膨らみもあり、作品に新たな息吹が宿ったと感じました」と称賛。
最後に、公演を楽しみにしている方に向け、松多は「9年ぶりの再演です。『散れ』だけでも楽しめるので、『刻め』を見逃した方もご安心ください。(青木・川﨑の)二人が地続きで演じていることが作品にとても深みを与えています。ご期待ください!」、湯本は「日々生きていて、辛いことや悲しいことがあると思いますが、いろはは皆さんに出会い、初めての恋を知ったり、家族だと思える人に出会えたりしました。いろいろなキャラクターにご自身を重ねて見ていただくと、物語のメッセージ性が伝わってくると思います」と呼びかける。
沖野は「皆さんが好きなエンタメ作品になっていると思いますし、時代劇でエンタメをやった先駆けのような方の作品の再演です。最後には驚くような仕掛けもありますから、そこも楽しみに来ていただけたら」と語り、川﨑は「個人的には“繋ぐ”ということを意識していました。再演というのもそうだし、2作品の流れもそうだし、白狐丸から天刻丸に気持ちを繋ぐのもそうだし。白狐丸は恐らく息子の存在を知らないまま亡くなっているけど、生き様で何か示すというのが作品の軸になっていると思う。そこを大切に走り抜けたいと思っています」と意気込む。
最後に青木が「歴史ある人気作品にメンバーの星輝と二人で携われるのが嬉しいです。この作品に愛を持っている方がたくさんいて、僕も稽古をするたびにそれぞれのキャラクターへの愛が大きくなった感じがします。このエネルギーを受け取って、その活力を明日のパワーにしてほしいです」と締め括った。
先週上演された「刻め、我ガ肌ニ君ノ息吹ヲ 2024」は、とある少年が白狐丸(川﨑星輝)の伝説を調べるために老いた外道丸を訪ね、白狐丸と静の物語を知るというストーリー。世捨て人のような生活をしていた外道丸だったが、少年が白狐丸の息子・天刻丸だとわかり、共に白狐丸の軌跡を辿る旅を始めるところで幕を閉じた。
今回の物語は、天刻丸(青木滉平)と外道丸(沖野晃司)が白狐丸の師匠・狐猿(鷲尾修斗/碕理人)という山賊の元を訪れることからスタート。華やかなオープニングでは白狐丸と天刻丸の繋がりを示すような、「刻め」を見た方はグッとくるだろうシーンも。
前作に引き続き天刻丸を演じる青木は、少年らしいピュアさや不器用さ、まっすぐな心を等身大の芝居で見せる。外道丸とのやりとり、いろは姫(湯本亜美)を前にドギマギする様子などが可愛らしいぶん、後半に向けての成長がグッとくる。殺陣においても、狐猿から父と同じ剣術を学んで強くなっていく姿が眩しい。
外道丸役の沖野は、天刻丸の成長を優しく見守る中に白狐丸への想いを覗かせ、外道丸が辿ってきた道のりの重さを感じさせる。一方でお調子者っぷりも健在で、若者たちの恋をワクワクしながら応援する様子が可愛らしい。
現在の狐猿を演じる鷲尾修斗は、おおらかな雰囲気と思慮深さにより大物感を醸し出している。生真面目な弟子の蒼(月川寛啓)やいろは姫、天刻丸を見守る視線の優しさと、キレの良い殺陣のギャップに惹きつけられる。
異国の血を引くいろは姫は辛い境遇にも関わらず天真爛漫で明るく、会見で湯本が意気込んでいた通り物語に華を添えている。白狐丸の境遇を思う優しい心、天刻丸の背中を押す気丈な一面が魅力的だ。
狐猿が語って聞かせたのは、幼い白狐丸が見せ物小屋に売られ、そこから逃げ出して弟子になる経緯。川﨑は、「刻め」では圧倒的な強さを誇っていた白狐丸がまだあどけなく、弱々しかった頃の姿を丁寧に見せる。たどたどしいながらセンスを感じさせる殺陣、人への向き合い方や気持ちの変化が描かれているため、「刻め」を見た方であればさらに白狐丸に対する理解を深められるだろう。
若き日の狐猿役の碕理人は、現在と変わらない面倒見の良さと強さで白狐丸を導く。彼との修行の日々、見せ物小屋の主人・影山(大野清志)の元で出会った薄雲(夏未ゆうか)とのエピソードによって、白狐丸が前向きに変わっていく様子に胸を打たれた。
作中で白狐丸と天刻丸が出会うことはない。白狐丸と現在の天刻丸が重なる部分も多く、親子の繋がり、周囲の人々によって次の世代へ引き継がれていくものを感じられる。
また、見せ物小屋の多羅尾兄弟(守上慶人、横田陽介)、魔王と呼ばれる荒木頼遠(小栗諒)と配下・今國灰之介(三本木大輔)と緒川紅丸(萩野祐矢)らを相手にした迫力満点な殺陣も見どころ。特に荒木は“魔王”を名乗るだけあって、そこにいるだけで気圧されるような威圧感を放っている。一風変わった武器を使用するキャラクターも多く、見た目にも華やかだ。
天刻丸と共に白狐丸の軌跡を追い、多くのことを考えられる本作。現代にも通じる様々なメッセージを受け取れる作品を、ぜひ劇場で見届けてほしい。本作は6月19日(水)より6月23日(日)まで、俳優座劇場で上演される。
<あらすじ>
「刻め」から数年後の物語。白狐丸の息子である天刻丸と、老いた外道丸。二人は出会い、白狐丸の生きた軌跡を追いかけ旅をしていた。そして白狐丸の悲しき生い立ちを知ってしまう。異形のため幼子のうちから捨てられ、見世物小屋へと売られたのだという…。
…白き鬼として追われた白狐丸の生い立ちと、鬼の子と呼ばれ追われた天刻丸、二つの運命が交差する時、奇跡が起きる!
<公演概要>
異形の血を継ぐ者「散れ桜よ、刻天ノ証ニ 2024」
脚本・総合演出:松多壱岱
演出:門野翔
2024年6月19日(水)〜6月23日(日)
場所:俳優座劇場(東京都港区六本木 4 – 9 – 2)
6月19日(水)14:00/18:30
6月20日(木)14:00/18:30
6月21日(金)14:00/18:30
6月22日(土)14:00/18:30
6月23日(日)14:00
出演:
青木滉平/沖野晃司 湯本亜美 鷲尾修斗 月川寛啓 小栗諒 三本木大輔 萩野祐矢 碕理人 守上慶人 横田陽介 大野清志 夏未ゆうか/川﨑星輝
梅田祥平 下田愛璃
チケット料金(全席指定・税込): 前売 9,200円/当日 9,500円
公式サイト:https://whitefox-stage.com/
公式X(旧Twitter):https://twitter.com/whitefox_stage
お問い合わせ:
■公演・チケットに関するお問い合わせ
MAIL:stage.contact55@gmail.com
主催・製作:「刻め・散れ刻2024」製作委員会(style office/ABCフロンティア)
宣伝:キョードーメディアス