~日本母乳バンク協会代表が、運営継続に向け課題を語る~
ピジョン株式会社(本社:東京、社長:北澤 憲政)は、一般社団法人 日本母乳バンク協会(代表理事:水野 克己、以下、日本母乳バンク協会)と共同で「日本橋 母乳バンク」(運営:日本母乳バンク協会)の全面リニューアル、およびクラウドファンディング(実施:日本母乳バンク協会)によって購入した最新式低温殺菌処理器※1の導入を記念した式典を2024年5月13日(月)に当社本社にて開催しました。
【リニューアル・クラウドファンディング実施の背景】
2023年度、日本においてドナーミルクを利用した赤ちゃんの人数※2は年間1,000人を超え、今後も需要増が見込まれます。一方で、リニューアル前の「日本橋 母乳バンク」は低温殺菌器の稼働率が約9割に達しており、さらなる需要増に備え、供給体制の安定化が求められていました。
このような背景を受け、この度「日本橋 母乳バンク」を全面リニューアルいたしました。施設面積を従来の約2倍に拡大したほか、昨年秋に日本母乳バンク協会が実施したクラウドファンディングにて購入した最新式低温殺菌処理器※1も設置され、式典当日の5月13日(月)より稼働が開始されました。
【式典の主要トピックス】
●日本母乳バンク協会 代表理事 水野先生より、日本における母乳バンクの着実に伸長する実績のご報告と共に、改めてドナーミルクの有効性と意義についてご説明がありました。また、日本母乳バンク協会の運営継続に向けて抱える、資金や人不足など現状の課題についても説明され、公的な支援を含む支援の必要性を訴えられました。
●水野先生とピジョン 代表取締役社長 北澤のトークセッションでは、日本における母乳バンクの歴史や、ピジョンによる支援について説明があったのち、今回のリニューアルポイントである面積約2倍拡大や低温殺菌処理能力※3が約3倍に向上したことを中心にお話されました。
●水野先生とドナーミルク利用ご家族2組とのトークセッションでは、現在のお子さんの元気な様子から、ドナーミルクへの感謝の想いや「ドナーミルクがもっと多くの病院で使えるようになってほしい」という今後の期待が述べられました。
●当社が行った早産・低出生体重児ご家族を対象としたドナーミルクに関するアンケートでは、ドナーミルク利用経験のないご家族であっても「ドナーミルク」の言葉を知っている割合は100%と高いことがわかりました。今後も、早産・低出生体重児ご家族はもちろん社会全体での母乳バンクの認知向上のため、より一層一般の方々への周知を目指して支援してまいります。
※1 SteriFeed社の低温殺菌器「S90 Human Milk Pasteuriser」。寄付された母乳を低温殺菌処理する機器
※2 日本母乳バンク協会および日本財団母乳バンクの合算値(2024年4月調査 日本財団母乳バンク調べ)
※3 「日本橋 母乳バンク」内、低温殺菌処理器を最大稼働した場合の1日当たりの処理力(量)
<一般の方からの「日本橋 母乳バンク」見学希望者を募集中!>
母乳バンクを多くの方に知っていただく機会を提供することを目的に、期間限定で、一般の方の施設見学を実施いたします。※見学窓からの見学となります
●応募期間:2024年5月13日(月)~6月3日(月)10時
●見学期間:2024年6月18日(火)~6月28日(金)※平日のみ
●申し込みURL:https://ssl.pigeon.co.jp/enq/index.php?id=04ab94e4
「日本橋 母乳バンク」施設内外、および式典のオフィシャル素材
以下URLより画像・動画をダウンロードいただき、本件の報道を目的とした場合にのみご活用ください。なお、素材を活用いただく際は、注釈のご対応をお願いいたします。
URL:https://drive.google.com/drive/folders/1iqLyBSiw9V-0UpGlW7aWBvuvieAdXWGZ
【式典での発表内容】
■ 講演「ドナーミルクの有効性と母乳バンクの意義について」
一般社団法人 日本母乳バンク協会 代表理事/小児科医 水野 克己先生
「日本橋 母乳バンク」の開設から約4年を迎え、当施設からドナーミルクを提供した赤ちゃんの人数は年間620人※1まで増えました。日本全体では、ドナーミルクを利用する赤ちゃんは年間約1,000人にまでに広がっており、非常に喜ばしく思っております。
今回の「日本橋 母乳バンク」の全面リニューアルにより、直近のドナーミルク需要増加に応える供給体制は確保することができました。特に、今回実施したクラウドファンディングで新たに導入した最新式低温殺菌処理器により、「日本橋 母乳バンク」の処理能力※2は従来の約3倍となり、より多くの赤ちゃんに届けられるようになりました。これもクラウドファンディングにご協力くださった個人の皆さまとピジョンをはじめとするスポンサー企業の皆さまのおかげだと感じています。
ドナーミルクの有効性
ポイント① 疾患の罹患率・重症度の低下
極低出生体重児や早産児はお腹の外で生活するための機能が未熟で、生死にかかわる壊死性腸炎(腸の一部が壊死する病気)などにかかるリスクがあります。ドナーミルクは壊死性腸炎の罹患するリスクを、人工乳(ミルク)のおよそ1/3に低下させる効果があるという報告があります。
ポイント② 経腸栄養の確立を早めることにより、長期予後が改善
ドナーミルクにより早期から経腸栄養を開始することで、経腸栄養の確立が早くなり、認知機能障害をはじめとした様々な障害の発生割合が低くなるという調査結果があります。
現在、「日本橋 母乳バンク」は安定的な運営に課題を抱えています。特に運営資金の不足が大きな課題となっており、運営スタッフ数も十分とは言えず、資金不足により雇用を増やすことは難しい状況です。ドナーミルクを必要とする約5,000人の赤ちゃんへこれからも安全なドナーミルクを届け続けるため、公的な支援も含む皆さんからの支援を求めています。
※1 「日本橋 母乳バンク(運営:一般社団法人日本母乳バンク協会)」のみの2023年度実績
※2 「日本橋 母乳バンク」内、低温殺菌処理器を最大稼働した場合の1日当たりの処理力(量)
■ トークセッション
①水野先生×ピジョン株式会社 代表取締役社長 北澤 憲政
北澤は、ピジョンが日本母乳バンク協会のゴールドスポンサーとして支援にいたったきっかけや、支援に対する使命感について話しました。リニューアル後の「日本橋 母乳バンク」をご覧になって、水野先生からは「今回のリニューアルにより、安心安全なドナーミルクを多くの量提供できると考えている」、北澤からは「面積も供給力も拡大し、約3,000人の赤ちゃんへ提供できる処理能力となった。今後予想されるさらなるドナーミルクの需要拡大に向け、事前に備えておく必要性を改めて感じた」といった感想がありました。最後に、今後の展望として水野先生からは「日本橋 母乳バンクから全国の小さな赤ちゃんへ、ドナーミルクを届けていきたい」、北澤からは「日本橋 母乳バンクのさらなる認知度向上のため、継続的に支援していく」という言葉で締めくくられました。
②水野先生×ドナーミルク利用ご家族 岡野 菜月さん(仮名)、佐藤 桂子さん(仮名)
ドナーミルクを実際に利用されたご家族である、岡野 菜月さん(仮名)と佐藤 桂子さん(仮名)に登場いただいたトークセッションでは、本式典のために当社が実施したアンケート結果を見ながら水野先生とお話いただきました。
早産・低出生体重児のお子さんがいるご家族を対象に実施したアンケートでは、ドナーミルク利用経験のないご家族であっても認知度が100%であり、産後の認知は高いことがわかりました。一方で、登壇された岡野さん・佐藤さん、アンケートに回答したドナーミルクを利用したご家族からは、「ドナーミルクは必要に迫られるまで知らなかった。事前に知っていたかった」といった回答も見受けられました。
ドナーミルク利用を経た現在のお気持ちについて、岡野さんは「ドナーミルクのおかげで息子は助かった。子どもが生まれた直後は元気な姿は想像できなかったが、今は保育園に通うまでに元気になった。ドナーの方にはとても感謝している」と語りました。また、佐藤さんは「22週で生まれた娘は、生存して退院する確率は50%程度と医師より聞いていた。それが現在、子どもは大きな病気もせず健康に育ったので、ドナーミルクを利用したおかげだと感じている。どこの病院で生まれてもドナーミルクが利用できるような社会になってほしい」とお子さん誕生当時を振り返られました。水野先生はご家族のお話を受け、「安心してドナーミルクを利用し続けていただけるよう体制を整え、引き続き尽力していく」とお話されました。
■リニューアル記念セレモニー
お子さんの主治医が水野先生だったことがきっかけとなり、以来母乳バンクの活動に共感いただいているファッションモデルの蛯原 友里さんが特別ゲストとして登場したセレモニーでは、クラウドファンディング達成と「日本橋 母乳バンク」全面リニューアルを祝うパネルを弊社北澤と共に水野先生へ贈呈しました。また、「日本橋 母乳バンク」のリニューアルオープンを記念し、テープカットも執り行いました。
<蛯原 友里さんよりお祝いのコメント>
このたびは、低温殺菌処理器購入に向けたクラウドファンディングの達成、そして、「日本橋 母乳バンク」のリニューアルオープン、おめでとうございます!
日本母乳バンク協会の代表理事でいらっしゃる水野先生は、私の長男が生まれたときからお世話になっている、かかりつけの先生でもあります。そんな水野先生が、母乳バンクを普及するために積極的に活動されていることは、以前からお聞きしておりました。「小さい赤ちゃんにとって、母乳がどれだけ大切なものかということをたくさんの人に知ってもらいたい、伝えていきたい、ドナーミルクを日本に浸透させたい!」という先生の熱いをお聞きしておりましたので、今回この様な形で協力させていただき嬉しく感じております。
クラウドファンディングでの「まずは知ることから始めませんか」という先生のお言葉から、今回寄付していただいた方も多くいらっしゃると思います。先生の思いが多くの方に届き、その思いに賛同してくれた皆さんの気持ちがクラウドファンディングを通して集まり、こうして達成されたことは本当に素晴らしいことだと感じております。
これからも、この思いを繋げるために、そして一人でも多くの赤ちゃんとご家族に笑顔を届けるために、皆さんも一緒に、母乳バンクの取り組みを応援していっていただけたらと思います。私も一人のママとして、育児を取り巻く環境が、より優しいものになってほしいと心から願っています。
■「日本橋 母乳バンク」施設見学
今回のリニューアルにより、「日本橋 母乳バンク」の面積が約2倍に拡大しました。また、面積の拡大だけでなく、これまでの4年間の運営を踏まえ、作業員がより効率化を図れるレイアウトへ変更いたしました。
さらに、今回低温殺菌器を1台追加したことで、処理能力が約3倍に向上する見込みとなっております。複数台の低温殺菌処理器が稼働することで、一方の機器が壊れた場合でもドナーミルクの供給が止まらずに運営が可能となりました。これらの改善により、これまで以上に多くの赤ちゃんへドナーミルクが届けられるようになります。
■リニューアル式典・施設の様子
ピジョン株式会社
ピジョンは、育児用品をはじめ、マタニティ用品・介護用品・保育サービスなどを手掛けるブランドです。
設立以来60年以上に渡る研究に基づき、製品やサービスを提供することによって、この世界をもっと赤ちゃんにやさしい場所にしたいと考えています。
ピジョンは、赤ちゃんが生まれながらに持つ素晴らしい力を育み、すべての赤ちゃんがありのままに輝ける世界の創造を目指していきます。