デビュー36年を迎えた演歌歌手・石原詢子。5月に発売した「五島椿」は、自身作詞・作曲による初めてのシングル曲として話題になり、カラオケファンから大きな支持を集める人気曲になっている。そんな石原詢子が、10月24日(火)東京ガーデンパレス「高千穂」において、デビュー日(1988年10月21日)を記念した「もうひとつのバースデーディナーショー〜あなたは私の縁結花(むすびばな)〜」を開催した。
ショーは全国各地から駆けつけたファンの歓声と拍手の中、華やかな振袖姿で登場した石原、自身の代名詞である“しあわせ演歌”として人気のNHK紅白歌合戦出場曲「ふたり傘」で幕を開けた。続いて、「日本作詩大賞」最優秀賞新人賞作品賞を受賞した「ひとり酔いたくて」、故郷・岐阜を舞台に吉幾三がプロデュースした「濃尾恋歌」と、観客を魅了。
開演から立て続けにファン人気の高いヒット曲の歌唱に、観客は一気に石原の世界へ引き込まれた。
石原は「デビュー当時はまさか36年も歌うことができるとは考えてもいませんでした。応援して下さる皆様との縁を大切に、今日は心を込めて歌います。」と、この日を迎えた喜びを語った。
続いてステージで披露されたのは、「淡墨桜(うすずみざくら)」。この曲は、故郷・岐阜県の山間に凛と咲く桜の名木と、母への想いを重ね合わせた石原の代表曲のひとつだが、発売から17年経つ来年4月に、岐阜県本巣市の「淡墨公園」に、歌碑が建立される予定となっている。ステージで、歌碑ができることをファンに報告、その建立にあたり、多くの方から寄付が寄せられた。「自分が歌唱した歌の歌碑が建立されるということは歌手冥利に尽きる思いです。皆様のおかげで夢がひとつ叶いました。ありがとうございます。」と、感謝の気持ちを伝えると会場から温かい拍手が贈られた。石原詢子の楽曲が歌碑になるのは、この「淡墨桜」が初めてとなる。
ステージは一転、着物から黒の艶やかなドレスに着替えた石原は、新曲「五島椿」のカップリング曲で、故郷の空をイメージして自身が書き下ろした「流れる雲に」を披露。続く、アコースティックコーナーでは、ちあきなおみの「紅い花」や山口百恵の「秋桜」など、大切な人との思い出を重ね、涙を堪えながら、しっとりと歌う姿が印象的であった。
椿の柄があしらわれたこだわりの帯を締め、白い着物に着替えて再登場した終盤、波音から始まるナレーションに続き、新曲「五島椿」を歌唱。この曲が縁となり、長崎県「五島市ふるさと大使」「新上五島町観光物産大使」を拝受し、度々現地に足を運び、地元の方々とも親睦を深めている。地元からのバックアップは大きな自信となり、更なるヒットに向けて決意を新たにした石原は「皆様にたくさん歌って頂き、もっともっと広めて頂きたい一曲です。私も大ヒットに向けて精一杯頑張って歌います。」とこの曲にかける思いを伝えると、会場に詰め掛けたファンから大きな声援が贈られた。
そして、作曲家・市川昭介の遺作「しあわせの花」、NHK紅白歌合戦初出場曲「みれん酒」では客席に降り、観客ひとりひとりに笑顔を届けると、会場は暖かい声援と笑顔に溢れた。
拍手と歓声の、ショーのラストは詩吟が挿入された「明日坂(詩吟「宝船」入り)」を、挿入詩吟が長尺にアレンジされた、この日のための特別バージョンで披露。詩吟の家元であり、そして演歌歌手としてより円熟味を帯びた石原詢子ならではの、力強くも希望に満ちた圧巻の歌声に観客も惜しみない拍手を送った。
会場に鳴りやまぬアンコールが響き、急遽予定にはなかった「五島椿」を再度歌唱することに。サビの「五島椿は縁結花(むすびばな)」は観客との大合唱になり、会場は温かい空気に包まれた中、ショーは幕を降ろした。
ショーを終えた石原詢子は「あらためて、ファンの皆様のおかげで、歌うことができることの幸せを実感することができたステージでした。これからも感謝の気持ちを忘れずに歌っていきます。」と笑顔で語った。
石原詢子「もうひとつのバースデーディナーショー〜あなたは私の縁結花〜」セットリスト
M1 ふたり傘
M2 ひとり酔いたくて
M3 濃尾恋歌
M4 淡墨桜
M5 流れる雲に
M6 紅い花
M7 秋桜
M8 ただそばにいてくれて
M9 五島椿
M10 しあわせの花
M11 みれん酒
M12 明日坂(詩吟「宝船」入り)
アンコール 五島椿