菊池氏がフリーターから俳優、飲食店経営の経験を経てシネマネコプロジェクトを立ち上げた経緯と、どんな時でもまず行動に移して挑戦していく価値、地域への貢献についてお話しいただきました。
ワクセル主催のトークセッションイベントのレポートです。
ワクセル(主催:嶋村吉洋)は、コラボレートを通じて、人に夢を与え続けていくソーシャルビジネスコミュニティです。
ワクセルは10月18日(月)に、オンライントークセッションイベントを開催しました。ゲストには株式会社チャス代表取締役の菊池康弘(きくちやすひろ)氏をお招きしました。
菊池氏は2002年20歳の時から俳優として活動し、2011年29歳の時に俳優業を辞め、地元の東京都青梅(おうめ)市に炭火やきとり『火の鳥』を開業しました。2014年32歳の時には株式会社チャスを設立し、多店舗展開を果たします。2020年1月、3月、12月には新店舗を3店舗オープンし、2021年6月には都内初の木造映画館『シネマネコ』をオープンしました。
俳優業から飲食店経営、映画館の開館など幅広く活躍されてきた菊池氏の経験や、シネマネコのプロジェクトを通しての仕事の価値観を中心にお話いただきました。
思い立ったらすぐ行動、挑戦し続ける価値
菊池氏はもともと大きな夢があったわけではなく、高校を卒業してから20歳までやりたいことが漠然としていたフリーターでした。
20歳で結婚して子どもが生まれたことをきっかけに「夢を諦める人生は嫌だ、子どもに夢をかなえる背中を見せたい」と思うようになります。元々演技や芝居に興味があったから挑戦してみよう、と俳優を目指します。
当時俳優へのなり方がわからなかった菊池氏は、求人情報誌で俳優募集の文字を見つけ即応募、事務所への入所を果たします。主役を演じることができるからと80万円の契約金を支払い、舞台の世界へ挑戦します。
2年間で4~5本に出演したものの、事務所の経営も怪しくなり、このままではまずいと蜷川幸雄(にながわゆきお)氏主宰のニナガワ・スタジオのオーディションを受けました。
「結婚して子どもがいるなら無理だ。やめろ」蜷川氏にそう言われ、このままでは落選すると思いました。
しかし、納得のいかない菊池氏。
オーディションが終わるまで蜷川氏を待ち伏せして「演技が下手で落とされるのはいいが、家族がいるからと落とされるのは納得いかない」と直談判し、その場で合格を勝ち取りました。
当時から、考えないで一直線、思ったら即行動することを大事にしていました。
29歳の時に「おまえ(の居場所)は、そこではない」と“天の声”が聞こえ、俳優を辞めて次のステップへと進みます。
写真:当時を語る菊池氏
ピンチをチャンスに変える、攻めの経営
俳優を続けながら生計を立てるために飲食店でバイトを続けていた菊池氏。
当初は生計を立てるためだけの仕事と割り切っており、飲食業に興味はありませんでした。バーの店長として自由に店を運営する経験を通して飲食店を営む楽しさを見つけ、地元で飲食店をはじめる決意をしました。
地元にあった焼き鳥店が無くなり、新しい焼き鳥店を望む地元の方の声を聞き、炭火やきとり『火の鳥』を開業しました。
そこから株式会社チャスを設立し順調に店舗を展開していたところ、2019年の年末に店舗で火事が起き、300~400人の予約がキャンセルとなり、大きな損失を受けます。そのタイミングと重なって、年明けすぐに緊急事態宣言が発令され、経営のピンチを迎えます。
このままだと倒産すると思い、1か月後には海鮮のお店を出店。採算が合わないので、さらに緊急事態宣言下で2店舗を出店しました。
周りの飲食店経営者はどんどんお店を辞めていく中で、菊池氏はひたすら出店していきました。
緊急事態宣言により飲食店がどんどん辞めていくのでいい場所に出店できるチャンスと捉え、店舗の出店を続けた菊池氏。
じっとしていることの方が怖い、動き続けると結果がわかり、繰り返していくことでこれをやれば大丈夫だと自信につながると考えたそうです。
菊池氏はとにかく動くことを大事にされています。その結果、コロナの状況に関係なく売上を伸ばし、従業員も増やしていきました。
菊池氏の経営の根幹にはディフェンシブ(守り)に戦う方が難しく、オフェンシブ(攻め)でいる方がディフェンスもうまくできるようになる確信があるのです。
写真:トークセッションの様子(左から渋沢氏、菊池氏)
収益性より地域への貢献!大義のあるビジネス
映画館を開くきっかけとなったのは『火の鳥』を訪れてくださったお客様のひと言でした。以前は映画の街として青梅市は栄えていたのだそうです。
青梅にはアウトドアのアトラクションはありますが、カルチャー的要素が少ないので、自分が若いころ経験したエンタメを届けたいという想いでシネマネコプロジェクトを始動しました。
青梅は昔、養蚕(ようさん)の街として栄え、ネズミ退治のために大量にネコが飼われていたネコの街でもあったので、映画館とネコを組み合わせて『シネマネコ』という名称に決めました。
菊池氏にとって映画館は、スタッフの経験も経営の経験もないので、全国の映画館の館長を訪ね回り、映画館の作り方を学びました。国の登録有形文化財の木造建築の建物を、建築家の方と入念に打ち合わせた上で、リノベーションして完成させました。
写真:木造建築のシネマネコ内装(https://cinema-neko.com/theater.php)
オープンして半年で20回以上も来られているお客様もいて、地元の方々に愛されています。
木造建築の中に最新の設備を備えたシネマネコは、想像していたよりもお客様からの反響が大きく、当初の目的であったエンタメを地元に届けるということにつながりました。
オープンまでにクラウドファンディングをしたり、地元の商店街の方にポスターを貼ってもらったり、地元の方と一緒に街のシンボルを作る感覚で映画館を作れてよかったと話す菊池氏。
地元の方の憩いの場として、映画の後の余韻を楽しめる場所になりました。
さいごに
トークセッションの間にシネマネコに併設されているカフェのメニューである、フレンチトーストを渋沢氏と住谷に提供いただきました。
写真:シネマネコ看板メニューのフレンチトースト
そのフレンチトーストも地元商店街のパン屋さんから仕入れていて、地域密着型の企業としてさらなる事業展開を考え、青梅の魅力を高めて発信し地域活性化に貢献しています。
映画館を「コミュニティ形成をする場」「人とふれあう交流の場」として気軽に使ってほしいと話す菊池氏。
アピールポイントは築80年の木造建築で、窓が大きく明るく開放感があり、これまでの映画館の暗いイメージを払拭する新しいコンセプトの映画館であることです。
菊池氏が今後やってみたいことは、地域にないものを作り地域の活性化に貢献することと、映画を製作すること。
ワクセルでも映画製作のプロジェクトがあるので、お互い協力できればという住谷の言葉でトークセッションは締めくくられました。
写真:将来のビジョンを語る菊池氏
トークセッションの一部は、ワクセル公式ホームページに掲載しておりますので、合わせてご覧ください。
https://waccel.com/talksession/kikuti-yasuhiro/
■菊池康弘氏プロフィール
株式会社チャス代表取締役。青梅市に『火の鳥』として4店舗飲食店を経営。2021年に青梅市では50年ぶりとなる映画館『シネマネコ』を建設。今後も青梅を中心に様々なジャンルでリデザイン事業を展開していきます。クラウドファンディング目標金額500万円達成。
2002年 俳優業を志す
2004年 蜷川幸雄氏主宰のニナガワ・スタジオ入所
2011年 29歳で俳優業を辞め、地元青梅に炭火やきとり『火の鳥』を開業
2014年 32歳で株式会社チャスを設立、多店舗展開
2018年 シネマネコプロジェクト始動
2020年 1月、3月、12月に飲食店の新店舗を出店
2021年 6月シネマネコオープン
シネマネコ公式HP
https://cinema-neko.com/
菊池康弘氏Twitter
https://twitter.com/chasscinema?s=20
シネマネコInstagram
https://www.instagram.com/cinemaneko_ome/
シネマネコnote
https://note.com/cinemaneko_ome/
■SOCiAL BUSiNESS COMMUNiTY『ワクセル』
ワクセルは、コラボレートを通じて、人に夢を与え続けていくソーシャルビジネスコミュニティです。健全に学び、チャレンジし、成長し、達成し続ける人が次々と集まるコミュニティを作り続けます。
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