昨年に引き続き、今年も三日間フル開催! 初日は、きゃりーぱみゅぱみゅ、スキマスイッチ、徳永英明、甲斐バンドらが出演!
長岡名物の花火とグルメを音楽と一緒に満喫できる野外音楽イベント『長岡米百俵フェス ~花火と食と音楽と~ 2023』が10月7日(土)、東山ファミリーランドで開幕した。2018年にスタートし、今年で6回目。初日のステージには結成20年を迎えた男性デュオ、スキマスイッチや、シンガー・ソングライターの德永英明ら10組が出演し、熱いライブを繰り広げた。
音楽と長岡や新潟の食を満喫する3日間。初日は午前9時半の会場を前に入場ゲートには長蛇の列ができていた。野外フェスとあり、入り口には誰でも無料で使える虫よけも設置。ゲートをくぐり、ステージがあるゲレンデに向かうと、全出演アーティストをイメージしたのぼりが揺れていた。色鮮やかな旗は、長岡造形大学の生徒がデザイン制作したのだという。
会場内はステージに最も近い「スタンディングエリア」のほか、規定サイズのテントや椅子などの持ち込みが可能な「テント・イスエリア」、規定サイズのレジャーシートを広げて楽しめる「シートエリア」、大人4人でゆったり過ごせる特典付きの専用区画「プレミアムリザーブシート」と4つのエリアを設定。恋人や友だち同士、子ども連れなどそれぞれのスタイルに応じて楽しめるような工夫がされており、各エリアでは開演前から、思い思いに寛ぐ様子が見られた。
午前11時の開演10分前には、フリーアナウンサーの安東弘樹、FM-NIIGATAパーソナリティの本間紗理奈がMCとして登場。大粒の雨が落ちてきた空を見上げた磯田達伸長岡市長は、「みなさんの熱気で雲を吹き飛ばしてほしい。会場には長岡が誇るグルメが並ぶフードエリアもあるので、大いに楽しんで」と開会を宣言した。
フェスのトップバッターを務めたのは、長岡市立 希望が丘小学校で学ぶ5・6年生。太陽のイラストの中に「TAIYOU」のロゴがデザインされた水色、紺色、白のTシャツに身を包んだ生徒は、オフィシャルサポーターである浜崎香帆にマイクを向けられると「春から練習をしてきたので全力で頑張りたい」「これまで練習してきたことを全力で、笑顔でやりたいです」「今まで支えてくれた人たちのために、頑張りたい」と意気込んだ。キュレーターを務める本間昭光と島田昌典が率いるハウスバンドの演奏が始まると、指を弾いてリズムを取りながら、左右に肩を揺らす108人。ステージではフェスのテーマソング「輝き」を笑顔で合唱し、堂々と大役を務め上げた。
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ひなた
子どもたちを送り出した舞台に姿を見せたのは、長岡出身・在住の2人組「ひなた」。リーダーのたかのりは「米フェス2023にようこそ。長岡出身のひなたです。ただいま。米フェスにおかえり」とあいさつ。「楽しみたい人、思いっきり拍手!」と続けると、会場から大きな拍手が送られていた。柔らかなアコースティックギターの音色が印象的な「SMILE~相変わらずな日々の中で~」では、ファンと晴れ間が見え始めた空に向かって両手でVサインをする時間もあった。従弟同士で結成したデュオは、今年活動24年目。たかのりが「生まれ育ったこの町の素晴らしさを伝えたいと思って活動しています」と明かした舞台では、栃尾の油揚げ、コシヒカリ、目抜き通りにあるMIMATSU CAFÉが販売している、米を使った1個39円のシュークリームなどのグルメや、花火など街のおススメを歌詞に盛り込んだ「越後長岡のうた」を踊りながら熱唱。地元民にはなじみ深く、初めて来県した人でも、魅力をすぐに理解できるほんわかとした歌で会場を和ませた。
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JUNNA
続いて登場したJUNNAは、「たった一人の私は此処」と、決意表明するように。強い意思を感じる瞳で「Here」を歌い上げていく。「♪ダディア バディア」と呪文を唱えるような「Dear」では深みのある歌声で聴き手を異空間へと誘った。「風の音さえ聞こえない」など攻めたロックナンバーで、会場を揺さぶり続けた。「一緒に歌って」と声を合わせた「You + Me = ?」の後、上手からキーボードが運ばれてきたのを見たファンからざわめきが起こると、「最後はコラボを一緒にさせていただきたいと思います」とスキマスイッチの常田真太郎を呼び込むと、JUNNAが所属している『マクロスΔ』から生まれた戦術音楽ユニット・ワルキューレが今年行った「 SANKYO presents ワルキューレ FINAL LIVE TOUR 2023 ~Last Mission~」のライブTシャツを着た常田が登場。JUNNAは「ラストミッションのTシャツを着てくれてる!」と目を丸くしていた。常田とは過去にも米フェスでコラボレーションをした経験があり、以降交流を続けているという2人。JUNNAは「『またコラボしたいです』と伝えた夢が叶った」とうれしそうに笑った。約40分のステージは常田が奏でる鍵盤の音に合わせて「いけないボーダーライン」をパフォーマンス。「ご飯も音楽も、花火も最後まで楽しんで」と呼びかけた。
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降幡 愛
80年代のシティポップを軸とした音楽性が魅力的な降幡 愛は、きらめくサウンドに乗せた「AXIOM」でライブをスタート。「米フェス2023、盛り上がって行きましょう!」と呼びかけると、曲中に「A」「X」「I」「O」「M」とタイトルのアルファベットを、順に両手で表現するダンスを展開していった。降幡の動きを楽しそうに真似る会場の様子に気付くと、「上手ですね」と満面の笑みを見せていた。ファンタジックな世界観を築き上げた後は、軽やかにステップを踏みながら「Fashion」を歌い、会場と一体に。セクシーなキーボードの音が印象的な「PLAY BOY」では、楽曲を制作した本間自らが演奏して、ステージを支えた。降幡は「本間昭光さんに作っていただいた曲を、すごいバンドメンバーと一緒に立つことができて、とっても幸せです」と感謝していた。ステージに月の光が差し込んだ「Super Moon」、透明感ある歌声で引きつけた「OUT OF BLUE」など女性の心情をリアルに歌い上げて行く。MCでは「曲ごとに違う面を見て欲しいと、バリエーションある曲を選曲しました」と説明。言葉の通り、豊かな表現力を見せた降幡には大きな拍手が送られていた。
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アバンギャルディ
続くアバンギャルディは、2017年に開催された「日本高校ダンス選手権」で準優勝した登美丘高校ダンス部の「バブリーダンス」の振付師、akaneがプロデュースするダンスチーム。白いブラウスにジャンパースカートという揃いの制服で舞台の中央に集合したメンバーが顔をあげるとYOASOBIのヒット曲「アイドル」に乗せてパフォーマンス。おかっぱ頭で一糸乱れぬ動きを見せ、会場をわかせた。「謎のおかっぱ軍団。今日もあなたの心を鷲づかみ」の言葉通り、一瞬でゲレンデに集まった人たちを虜にしていった。岩崎宏美の「シンデレラハネムーン」ではメンバーを担ぎ上げるなど、アクロバティックな動きで会場を圧倒した。渡辺真知子のヒット曲「かもめが翔んだ日」を始める前には、「一緒に踊ろう」と両手を広げ、かもめのように羽ばたく動きや、キメ顔を観客にレクチャー。2列にかがみこんだメンバーは、イントロが流れるのと同時に、カモメのように羽ばたき始めた。指の先まで神経が行き届いた動き、表情など演劇のような身体表現は圧巻。カモメになり舞い上がっていくような動きで、ゲレンデを港に変えていた。
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きゃりーぱみゅぱみゅ
「きゃりー、きゃりー」と仮面をつけた4人のダンサーが出囃子に合わせて呼び込んだ舞台には、大きな白い襟が目を引くピンク色のワンピースを着たきゃりーぱみゅぱみゅが登場。ヒット曲「ファッションモンスター」で、一気にヒートアップした。「みんなのうた」では、軽快なメロディーに合わせてテントエリアにいた子どもが楽しそうにステップを踏み、きゃりーが身体の前で両手をクルクル回す「クルクルダンス」を始めると、母親と一緒に指を回転させていた。「今日の私のライブは1ミリたりとも目を離さないでください。後で謎解きします」と呼びかけたきゃりー。「みんな忍者って知ってる?」と始まった「にんじゃりばんばん」では細かいステップとジャンプを組み合わせたダンスも披露。曲中はダンサーと一緒に手裏剣を投げる仕草も見せた。最後のMCでは「今日はスペシャルゲストを呼んでおります」と、両手で顔を隠したダンサーの衣装を着た人物を呼び込み。きゃりーは「元々は私のファンで、いまでは大親友」と語ると、「東京からやってまいりました。加藤諒です」とダンサーとして踊っていたことを発表。キレのあるダンスを見せた加藤を大歓声が包み込むと、加藤は感激した様子で瞳に涙を浮かべていた。加藤は「きゃりーちゃんの世界をいつも楽しませてもらっていて、きゃりーちゃんの世界の一部になれたらと思っていたので、今日は機会をいただいてうれしかった。そして本当にダンサーの人がすごい」と初めてのコラボレーションを振り返った。
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スキマスイッチ
7月に結成20年目を迎えたスキマスイッチは、ハウスバンドメンバーと一緒に立ったステージでヒット曲「ガラナ」を演奏。坂井"Lambsy"秀彰のパーカッションが先導した「雫」では、ゲレンデに哀愁が広がっていった。ボーカル・ギターの大橋卓弥は「長岡!ギリギリ晴れてきましたね」と雲の合間に青空が見え始めた上空を見つめて笑顔に。続けて「お米おいしいね。食べたよ。たらこ、すじこ、たらこ、すじこ」とケータリングで提供された新潟の新米を使ったおにぎりを堪能したことを報告。常田も「食べ過ぎちゃうもんね」と苦笑いしていた。ロックナンバー「Ah Yeah!!」では、ファンがサビで手にしたタオルを頭上に投げて応戦。大橋はファンのパフォーマンスに「ありがとう!」と右手をあげて感謝していた。「知っている人がいたら一緒に歌って」と声をかけた「全力少年」のサビでは、マイクを会場に向けた大橋。「みんなの声が届いたから、晴れたね」と“澄み切った視界”が広がったことを喜んでいた。「こうやって20年経っても、歌える場所をいただけることがうれしい。これからもみんなの前で歌っていきたい」とファンに頭を下げたライブの最後は結婚式など節目で歌われる機会も多い「奏(かなで)」を選曲。聴き手それぞれが思い出を重ね、聴き入っていた。
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石井竜也
「やってるかい、じゃ、始めっかーい」と声をあげた石井竜也は、リーダーを務めるバンド、米米CLUBの「浪漫飛行」を軽やかに歌い始めた。いきなりの大ヒット曲に急いでエリアに戻る人の姿もあった。美しい歌声とは一変、MCでは終始陽気な石井。最初のMCでは「みんな元気かー。長岡…。ブヨに気を付けてください。ブヨが飛んでいるらしいですから。長岡と言えば米どころ。米がいいとブヨがいるっていう。刺されると痛いですから、ブヨに気を付けて」とブヨを連発し、会場の笑いを誘っていた。「次はアニメの曲をやります。でもみんなあんまり知らないかもしれない」と投下されたのは、ジブリ映画「天空の城ラピュタ」のDVD化記念のキャンペーン曲としてリリースした「君をつれて」。雨が上がり澄んだ空気の中で、豊かな石井の歌声が会場を包み込んで行った。社会現象になったドラマの主題歌に起用された「君がいるだけで」では、サビの前におなじみのクラップが会場から起こっていた。終盤にはディスコナンバーの「夢 DE 愛魔性」をセクシャルに歌い上げた。「DJ OZMAっていうやつが歌って、ヒットした曲をやります。決してオレが歌って、ヒットしたわけじゃない。ちょっとくやしい」と肩をすくめた「HI TENSION LOVE」を歌う前には、羽織っていたロングジャケットの左右のポケットから、「もらってきたんですけど、ちょっと重いから置かせて」とフェスの公式LINEアカウントを友達登録した人全員に来場者プレゼントされた「新潟県長岡市産新米コシヒカリ」の小袋を取り出すと、イントロ中に前方の客に投げ入れるパフォーマンスも。受け取った人は、予期せぬ贈り物に目を丸くして喜んでいた。歌と毒舌を織り交ぜたMCで沸かせたステージ。最後の曲を終える間際、「まだ、終わらない」と言うように、ベース音を口ずさんだ石井。気付いたベースの根岸孝旨、ドラムの江口信夫がすぐにアドリブでリズムをつなぐと、ハウスバンド全員での即興セッションを披露。贅沢な時間に、歓声が起きていた。
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德永英明
真っ白なロングコートを羽織った德永英明は、ハウスバンドの演奏でヒットソング「レイニー ブルー」を静かに歌い始めた。青い光の中で、広がっていく透き通った歌声は、全てを洗い流して行くよう。真摯に音楽に向き合う德永に、拍手と歓声が降り注いでいた。MCでは「長岡は米どころ、海鮮もおいしいし最高だね。昨日はのどぐろに、サザエのつぼ焼き、ふぐの天ぷら、アンコウ鍋と、アンコウ鍋のおじやと、お寿司と…。お腹いっぱいになりました。満喫しましたよ。長岡花火も上がるし楽しみにしています。」とフェスを楽しんでいるよう。「この後登場する甲斐バンドの甲斐(よしひろ)さんは、小学校の先輩です」など意外な接点も明かした。「僕のそばに」、しっとりとした「最後の言い訳」と歌い上げていく德永に向けて、会場のあちこちで光るペンライトが星の瞬きのように揺れていた。代表曲「壊れかけのRadio」では、ファンとの時間を愛おしむようにステージの前方に立って、声を届けていた。曲の終盤には「オレが下をやる」と会場とハモる時間も。「みんな声出てるね。ありがとうございました。ミュージシャン(ハウスバンド)にも大きな拍手を!アディオス!」と左手を振りステージを後にした。
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甲斐バンド
初日のトリを務めたのは伝説のロックバンド、甲斐バンド。来年結成50年を迎えるバンドは、「ダイナマイトが150屯」で会場を着火。ダブルドラムが地鳴りのような音を轟かせた。マイクスタンドをキックした甲斐の鋭い動きにも、歓声が上がる。甲斐は「このフェスのヴァイブを掴みたくて、昨日から現地に入って。とにかく今夜は最高の夜にするんで、みんな楽しんで行って」と語ると、「安奈 2012.」を熱唱。艶があるハスキーな歌声で、会場を酔わせていた。「ちょっとロマンティックなナンバーをやりましょう」と始めた「裏切りの街角」からは、「漂泊者(アウトロー)」まで5曲を休みなしで演奏。「漂泊者(アウトロー)」では、赤、青、黄、白など点滅する照明の中で、「♪誰か俺に愛をくれよ」と甲斐の切ない歌声に応え、会場からも「愛をくれよ!」と声援が送られていた。全10組が7時間半以上をかけてつないだフェスの大トリを飾ったのは、180万枚以上を売り上げた1979年の大ヒット曲「HERO(ヒーローになる時、それは今)」 。生涯ロッカーを体現する甲斐らは、1音で会場を再燃させた。甲斐の歌声に合わせ「HERO!!」と拳を上げ、熱い思いをみなぎらせていく観客たち。エネルギーに満ちた楽曲に、会場から惜しみない拍手が送られていた。
フィナーレは、復興と鎮魂の思いを込めた約20分間の長岡花火。上空一杯に広がった大輪の花が夜空を彩っていた。
取材・文/翡翠
撮影/kyonntra / 笛吹侑暉 / Kaito Fujisawa / Iral Resty / Yuki Yamazaki
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