諏訪ななかが、23年5月にリリースをしたミニアルバム『Starry Garden』は、“Bloom”をコンセプトとした作品だった。そしてそのミニアルバムを引っ提げてのライブ『NANAKA SUWA 4th LIVE~Starry Bloom~』が、10月1日(日)東京・山野ホールで開催された。昼と夜で行われたライブの夜公演の模様をレポートする。
星がキラキラと煌めくようなオープニングSEが響き渡る。星のようなオブジェがいくつか吊るされているステージの中央に、紫の衣装をまとった諏訪ななか(以下、すわわ)が立つと、エレクトロポップ「Starry Garden」からライブが始まる。スペーシーなサウンドが会場を彩り、サビでは光に包まれながら、ぴょんぴょんとジャンプをしながら歌っていく。トリッキーなビートも軽やかに乗りこなし、間奏ではかわいい振り付けで会場を湧かせていた。鍵盤の音が全編に渡って鳴り響いている「夢十夜」では一転、シリアスな歌声で会場を魅了する。赤いライトに照らされながら、徐々にエモーショナルになっていくボーカル。最後の〈嗚呼。〉のロングトーンも、心をギュッと掴まれる、気持ちのこもったものだった。
「ソロでは初の声出しOKのライブなので、声を出すところは声を出して、出さないときは出さないでください」と言うと、「はい!」と聞き分けのいい返事が返ってくる。この何気ないやり取りも、長いコロナ禍を経て、戻ってきたものだ。
そして早速、声を出し曲「Lilac」を用意する優しいすわわ。のっけから大きな声が響き、途中のコール&レスポンスもバッチリ決まる。すわわもステージを左右に移動しながら声を届けていた。パープルなペンライトが力強く揺れ、会場の熱気もグンと上がると、人気曲「Wonderland!!」では、大きなクラップが起こる。サビでのキュートなダンス、そして真っ直ぐな歌声に、会場は幸せに満ち溢れていた。ラスサビではステージも客席もカラフルに光り、鮮やかな景色を見せてくれた。続くポップな「ショコラ フレーズ」は、切ない歌声で聴かせる。ピンクのライトに包まれながら、スイートに、そして表情豊かに歌っていたのが印象的だった。
観客を座らせるとアコースティックコーナーへ。ゲストとして、彼女の楽曲を何曲も手掛けている鶴﨑輝一と音楽ディレクター井上哲也氏(日本コロムビア)がギターを持って登場。すると今度はすわわが、衣装チェンジのために一旦捌けることに。その間は、2人のまったりトークで場をつなげていくのだが、「鶴﨑さんは、ギターがすごく上手い!」とハードルを上げたり、お水を飲んで「お水おいしい?」と観客に言ってもらったり、会場をゆるっと盛り上げていた。
ベレー帽に花柄の衣装に着替えたすわわが、「盛り上がってますねぇ」と再登場すると、さっそく2人のギター演奏をバックに、鶴﨑が作詞・作曲・編曲を手掛けた「溶けるみたい」を披露する。原曲のポップな感じではなく、カントリーな雰囲気がまた新鮮だったが、すわわは、恋の始まりを感情豊かに歌っていく。
MCでは「この曲が鶴﨑さんと初めましてだったんですけど、この曲があったから次の曲が生まれました」とすわわが語る。ここから人気の「〜たい」シリーズ三部作が生まれていくのだが、続いては2曲目の「揺れてみたい」。鶴﨑は、この曲では作詞のみを手掛けているのだが乙女心を見事に捉えた歌詞にキュンとする。ライブではクラップが起きたり、手を左右に振ったり、最後は“ラリラリラララララ”とみんなで声を合わせて楽しんでいた。
「昼公演より、みんなの団結力が上がってる! いい感じに紫のライトがキラキラしていました」と驚いてみせると、最後はピンクに染まったステージで、三部作最後の曲「ふれてみたい」を披露。歌詞に描かれていた男女2人の恋模様は、思いを告げに行くところで終わるのだが、この曲では、透明感のあるファルセットを織り交ぜながら、真っ直ぐな乙女心を歌っていた。
オリジナルとはひと味もふた味も違い、楽曲に新たな魅力をもたらしたアコースティックコーナー。「3rdライブではピアノとだったので、アコースティックギターオンリーで歌ったのは初めてだったんですけど、いかがでしたか?」と聞くと、会場からは大きな拍手が起こる。
ライブの後半は、ミニアルバム『Starry Garden』に収録されているシティポップの「ひと足」から。少し大人びた歌声でのパフォーマンスに、改めて曲の良さが伝わってくる。続く「突風スパークル」では、緑に染まった会場に、爽やかな風を吹かせていた。白いスポットライトに照らされながら歌ったトゥインクルな冬の曲「記憶ファンタジック」も素晴らしかった。サビでは会場全体が白い光に包まれ、雪の景色が見えるかのよう。心がキュンとする素晴らしいメロディの楽曲に、ひと足早い冬の贈り物をもらった気持ちになっていると、今度は斬新な楽曲「Lavender Tears」へ。ドラムのビートとピアノというミニマルなサウンドとボーカルだけの曲を、強弱や緩急をうまく使いながら歌っていくすわわ。曲終盤の〈「わたし、平気だよ」〉のセリフもしっとりと聞かせ、前へ向かう強さを表現する。
早替えで黄色いスカートの衣装になると、ラストスパートでは、みんなで盛り上がれる曲を並べる。「Merlot Tears」をクールに歌うと、ロックチューン「Strawberry Egoist」では、会場を真っ赤に染め上げる。コール&レスポンスと、最後の荒っぽいボーカルも見事だった。本編ラストは、疾走感溢れるピアノロック「Give Me Emotion!!」! カラフルなペンライトが揺れる会場に、力強い歌を響かせ、ステージをあとにした。
大きなすわわコールに応えてのアンコール。秋っぽいチェックのスカートとライブTシャツ姿で登場すると、12月20日に新曲「My Step」を配信リリースすることを発表する。彼女の楽曲を数多く手掛けてきた松坂康司氏による楽曲とのことだが、その新曲をここで初披露! 今回は、ビートがずっしりと響いてくるクラブミュージックで、何かに向けて一歩を踏み出す人の背中を押してくれそうな、前向きな歌詞も印象的だった。展開の面白さは健在だったし、最後のロングトーンも決まり、観客を喜ばせていた。「ホントにホントに最後の曲です。最後まで楽しんでいってください!」と伝え、大きなクラップと共に始まる「あたしびより」を歌う。すわわの曲は、主人公の女の子がとても魅力的で引き付けられる。この曲でも悩みながらも全力で前へ進む子を応援したくなってしまった。そんな風に、いろんな主人公の一瞬一瞬の輝きを歌っていったすわわの4thライブは、彼女の笑顔と大きな歓声とともに幕を下ろした。
Set List
Tr.1 Starry Garden
Tr.2 夢十夜
Tr.3 Lilac
Tr.4 Wonderland!!
Tr.5 ショコラフレーズ (夜公演)/Fine Days (昼公演)
Tr.6 溶けるみたい
Tr.7 揺れていたい
Tr.8 ふれてみたい
Tr.9 ひと足
Tr.10 突風スパークル
Tr.11 記憶ファンタジック
Tr.12 Lavender Tears
Tr.13 Merlot Tears(夜公演)/ノスタルジック・キネマ (昼公演)
Tr.14 Strawberry Egoist
Tr.15 Give Me Emotion!!
En.1 My Step ★新曲
En.2 あたしびより
ギター演奏:鶴﨑輝一、井上哲也(コロムビア)
◆諏訪ななか公式Twitter @suwananaka (https://x.com/suwananaka?s=20)
◆諏訪ななか音楽スタッフ公式Twitter @staff_nanaka (https://x.com/staff_nanaka?s=20)
◆諏訪ななかMUSIC OFFICIAL SITE https://columbia.jp/suwananaka/
◆諏訪ななか OFFICIAL FANCLUB「7colors world」https://suwananakafc.com/
◆諏訪ななか音楽スタッフ公式Instagram staff_nanaka(https://instagram.com/staff_nanaka/)