弁慶が!義経が!あらゆるボーダーラインを越えていく
2012年初演、2016年に再創作され、フランス・パリ公演でも好評を博したキノカブ版『勧進帳』。
義経一行の関所越えを描いた忠義の物語を大胆に再構築し、既成概念を打ち破った快作が、2023年、初演の地・京都で待望の再演!
歌舞伎と現代劇の‘あわい’を行き来するミクスチャープレイ、再び。
公演URL https://k-pac.org/events/9889/
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開催概要 木ノ下歌舞伎 『勧進帳』
日時:2023年11月4日(土)14:00開演■● / 5日(日)14:00開演〇
※上演時間:約90分/開場は開演の30分前
※■木ノ下裕一によるアフタートークあり
※●聞こえない・聞こえづらいお客様のための「ポータブル字幕機提供」を実施(要予約)※〇見えない・見えづらいお客様のための「音声ガイド」を実施(要予約)
会場:京都芸術劇場 春秋座 (京都芸術大学内)〒606-8271 京都市左京区北白川瓜生山2-116
チケット料金:一般 4,500円 / 友の会 4,000円 / 学生&ユース 3,000円
※ユースは25歳以下。学生・ユースは入場時に身分証明書の提示が必要です。主催:京都芸術大学 舞台芸術研究センター
制作協力:一般社団法人ベンチ
企画制作:東京芸術劇場・木ノ下歌舞伎 / 一般社団法人樹来舎
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木ノ下歌舞伎『勧進帳』
歌舞伎十八番の一つである『勧進帳』は、上演頻度の高さからもその人気が伺える、歌舞伎の代名詞的演目です。
木ノ下歌舞伎では2010年に杉原邦生[KUNIO]の演出・美術で初演した後、満を持して2016年に完全クリエーション版として再上演。監修・補綴の木ノ下裕一がその成果に対して平成28年文化庁芸術祭新人賞を受賞、ポンピドゥセンター[フランス/パリ]に招聘されるなど、高い評価を得ました。
一般的に「義経一行の関所越えを描いた忠義の物語」とされる勧進帳を、〈関所=境界線〉として読み解き、国境・現在と過去・主と従・観客と舞台……といった現代社会を取り巻くあらゆる〈境界線〉が交錯する、多層的なドラマへと再構築したキノカブ版『勧進帳』。現代演劇の手法で古典の可能性を探る木ノ下歌舞伎の代表作を、満を持して、オリジナルキャストで再上演いたします。
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あらすじ
鎌倉幕府将軍である兄・源頼朝に謀反の疑いをかけられた義経たちは、追われる身となり奥州へ向かっていた。道中の加賀国(※1)・安宅で、義経一行は自らを捕らえるための関所に行く手を阻まれる。義経は強力(※2)の姿、家来たちは山伏の姿に化けて関所を通ろうとするが、関守の富樫左衛門には山伏姿の義経たちを捕らえるよう命令が下されていた。そこで武蔵坊弁慶は機転を利かせて、焼失した東大寺を再建するため勧進(※3)を行っているのだと話す。すると富樫は、弁慶に勧進帳(※4)を読むよう命じるのだった。もちろん勧進帳など持っていない弁慶は、別の巻物を開くと、それを本物と見せかけて勧進帳の文言を暗唱してみせた。その後も一行は山伏を演じきり、関所を通る許しを得る。しかし、ふとしたことから強力が義経ではないかと疑われてしまった。緊迫した状況のなか、弁慶は義経をどこまでも強力として扱い、杖で打ち据える。それを見た富樫は、頼朝の命を破り、一行を通してやるのだった―――。
(※1)現在の⽯川県⼩松市。(※2)⼭伏に伴って荷物を運ぶ従者。(※3)寺院の建⽴・修繕などのため、信者や有志者に説いてその費⽤を奉納させること。(※4)勧進の⽬的について記された巻物形式の趣意書。
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木ノ下歌舞伎
歴史的な文脈を踏まえつつ、現代における歌舞伎演目上演の可能性を発信する団体。あらゆる視点から歌舞伎にアプローチするため、主宰である木ノ下裕一が指針を示しながら、さまざまな演出家による作品を上演するというスタイルで、京都を中心に2006年より活動を展開している。
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木ノ下裕一(きのした ゆういち)
木ノ下歌舞伎 主宰。
1985 年和歌山市生まれ。 2006 年、京都造形芸術大学在学中に古典演目上演の補綴・監修を自らが行う木ノ下歌舞伎を旗揚げ。代表作に『三人吉三』『娘道成寺』『義経千本桜―渡海屋・大物浦―』など。
2016 年に上演した『勧進帳』の成果に対して、平成 28 年度文化庁芸術祭新人賞を受賞。第 38 回(令和元年度)京都府文化賞奨励賞受賞。令和 2 年度京都市芸術新人賞受賞。平成 29 年度京都市芸術文化特別奨励制度奨励者。渋谷・コクーン歌舞伎『切られの与三』(2018)の補綴を務めるなど、古典芸能に関する執筆、講座など多岐にわたって活動中。
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杉原邦生(すぎはら くにお)
演出家、舞台美術家。 KUNIO 主宰。
2004 年、プロデュース公演カンパニー“ KUNIO ”を立ち上げる。これまでの KUNIO の作品に、『エンジェルス・イン・アメリカ 第 1 部「至福千年紀が近づく」 第 2 部「ペレストロイカ」』、“ Q1 ”バージョンを新訳で上演した『ハムレット』、 上演時間 10 時間に及ぶ大作 『グリークス』、大学の恩師でもある太田省吾作品を鮮烈に蘇らせた『更地』などがある。
近年の主な演出作品は、スーパー歌舞伎Ⅱ『新版 オグリ』、シアターコクーン『プレイタイム』、 PARCO 劇場オープニング・シリーズ『藪原検校』、さいたまゴールド・シアター最終公演『水の駅』、 COCOON PRODUCTION 2022 / NINAGAGWA MEMORIAL 『パンドラの鐘』、ホリプロ『血の婚礼』など。第 36 回京都府文化奨励賞受賞。
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クレジット
監修・補綴 木ノ下裕一
演出・美術 杉原邦生[KUNIO]
出演 リー5世、坂口涼太郎、高山のえみ、岡野康弘、亀島一徳、重岡漠、大柿友哉
音楽 Taichi Kaneko
照明 高田政義 音響 星野大輔
衣装 岡村春輝 振付 北尾亘
演出助手 鈴木美波 舞台監督 大鹿展明
制作進行 本郷麻衣、清水翼、武田知也
宣伝美術 外山央
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京都芸術劇場(春秋座・studio21)について
2001年に京都造形芸術大学(現 京都芸術大学)内に開設された、国内の高等教育機関では初めて実現した大学運営による本格的な劇場です。主に歌舞伎の上演を想定してつくられた大劇場=春秋座と、主に現代演劇・ダンスの上演を想定してつくられた小劇場=studio21という、まったくタイプの異なる二つの空間から成り立っており、伝統演劇・芸能から最先端のマルチメディア・パフォーマンスまで、現代の多様な舞台芸術(=performing arts)を幅広くカバーできる施設を誇っています。
舞台芸術を通じて京都における伝統と創造の姿を全国へ、そして世界へと発信しています。
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